26歳レオン(KH)inディシディア。

 

 女神は思い悩んでいた。
 この世界の秩序を司る神として存在する自身は、混沌を司る神カオスと世界の存亡をかけて戦っている身であった。
 神は武器を手にとって前線で戦うことはない。代わりに様々な世界より戦士達を召喚し戦ってもらうのだが、戦士は限りある命を生きる者達であり、それは敵も味方も変わらない。
 慈悲深く戦士達を見守り、癒し、時には正しい道へと導いてやることが己の責務であることを女神は自覚していた。
 いつ終わるとも知れぬ無限の戦いの渦中に戦士達を送り込むことの残酷さに、女神は心を痛めていた。
 平和な世界であったなら、戦士達を巻き込まなくて済んだ。
 戦いのない世界にならなければ、いつまでもこの地獄は終わらない。
 終わらせる為には戦士達に勝利してもらわなければならないが、それは同時に、過酷な生存競争を生き抜けということでもあった。
 殺して殺して、生き残れ。
 カオスを倒して、生き残れ。
 それがどれほどの苦痛と苦労を伴う重責であるかを理解しているからこそ、女神は思い悩む。
  
 
 皆には、せめて戦闘以外の部分では幸せでいて欲しい。
 
 
 心穏やかに、戦いのみに集中できる環境を提供してやりたい。
 それこそが、女神コスモスが彼らにしてやれる唯一のことであると思うからだ。
 普段女神の隣に立ち、仲間である戦士達を先導する役割を持つ光の戦士は、不在であった。
 彼もまた外に出て、敵の数を減らしたり日々の鍛錬を欠かすことのない優秀な戦士の一人である。
 今聖域内にいるのはティナと、フリオニールであった。
 この二人は積極的に女神に絡んでくることはない。
 静かに己の役割を理解し、仲間と協調しながら戦いに身を投じてくれているのだった。
 ああ、今なら。
 女神は空を見上げた。
 
 
 邪魔が入らないうちに、召喚だ!! 
 
 
 手を上げ、振り下ろす。
 光が落ちてきて聖域内に満ちても、彼らは騒ぎ立てたりはしないのだった。
 なんてよくできた子達なの、と彼らの優しさに感謝する。
 ああ、また呼んだのか、という哀れみに満ちた目で見られていることには気づかない女神だった。
「…今回は、何の用だ」
 もはや驚くこともしなくなった男の声は、冷静だ。
 髪をかきあげ見下ろす冷たい視線に怯むことなくうっとりと瞳を細めながら、女神は輝かんばかりの笑顔を向けた。
「ようこそ、レオン。今日はあなたに、お願いしたいことがあって召喚しました」
「いつも何だかんだと要求されている気がするんだが、気のせいか?」
「私がお願いしたことはありません」
「…あぁ、そうくるか」
 「スコールが未来の自分を見たいと望んだから」という理由でこの不可思議な世界に召喚されて以来、適当な理由をつけて何度も呼ばれているレオンにとって、女神の「初めてのお願い」とやらは意味がない。本来無関係であり頼みを聞いてやる筋合いはないのだ。どうもこの女神を筆頭に、この世界の連中は当然のように巻き込もうとしてくるが、その誤った認識の是正をお願いしたいところであった。
 だが素直に言うことを聞いてくれる連中ならば、そもそも何度も呼んだりはしない。
 諦めてため息をつき、「お願いとは何だ」と先を促してやれば、目に見えて女神の顔が綻んだ。
 とても美しい笑みであったが、こいつが元凶なのだと思うと心は全く弾まない。
 女神は恒例となった胸の前で手を組み、祈りのポーズでレオンを上目遣いに見上げ、ためらいがちに口を開く。
「実はスコールのことなのです」
「…スコールが、何か?」
「様子がずっとおかしくて」
「具体的には?」
「恋煩いをしているような」
「こい…?……はぁ…?」
 聞いたこともないレオンの心底どうでも良さげな声音に、女神は震えた。
 レオンったら、一片の容赦もない冷めきった表情もできるのね。
 何故この世界にはカメラがないの。シャッターチャンスは今しかないのに!
「はい…ずっと上の空で。他の戦士達とも時間をずらして一人で行動しているようなのです」
「…それで?」
「誰とも口をきこうとしません。私が話しかけても必要最小限しか話さないのは以前からですが…皆が心配しています」
「体調が悪いわけではなく?」
「戦闘能力に問題はありません。むしろ今の方が強いくらいで…ですがなんというか、自棄といいますか…精神に、何かを抱えているとしか」
「それが何故恋煩いだと?根拠でも?」
 ついに前世とやらいうのを思い出し、クラウドを受け入れるか否かで悩んででもいるのだろうか?
 自分の姿で恋煩いしていると思うと、脳が想像することを拒否するレオンだった。たとえ過去の姿で、別人であったとしてもだ。
 恋とか愛とか、勝手にやってくれで済まないのだろうか。
 巻き込まれたくないと思う。
 邪魔をする気もないし、馬に蹴られたくもない。
 額に手を当て深いため息をつくレオンを見上げたまま、女神は軽く首を傾げた。
「根拠と言うほどのものはありませんが…」
「ああ」
「あなたの前から走り去ってから、様子がおかしいのです」
「…あん?」
「あなたに会えなくて、寂しい思いをしているのでは?と…」
「それは冗談か?」
「いいえ、真面目にお話しています」
「……」
 脳内がお花畑なのだろうか。
 仮にも女神であり、ここにいる連中が忠誠を誓う相手なのだと聞いたが、大丈夫なのか。
 どこをどうしたらそういう思考になるのか、レオンには理解できなかった。
 だが女神は真剣な表情で、どうにかしてやってくれと訴えるのだった。
「私が彼らの為にしてあげられることは多くはありません。過酷な戦闘以外の場では心安らかに、穏やかに過ごして欲しいと願う心は真実なのです。スコールの心の平穏を願う私の心に、嘘はありません」
「……」
「あなたが原因の一端を担っているかもしれないので、召喚しました。どうか、スコールを救ってあげて頂けませんか。…おそらくスコールはあなたを求めていて、あなたでなければ解決できないのだと、思うのです」
「……」
 乾いた笑いが漏れそうになり、レオンは慌てて飲み込んだ。
 そんなバカな話があってたまるかと思いつつも、真剣な表情で見つめてくる女神を見下ろす。
 少なくともこの女神には、戦士達を見守り導く義務があった。
 そして彼らを想う心は真実なのだろうとも思う。
 まっすぐ見上げてくる慈愛に満ちた美しい瞳に、嘘偽りはないと感じる。
「…あ、あの、そんなにまっすぐ見つめられると、私…」
 だが照れて俯き、もじもじと恥ずかしがるのはやめろと言いたい。
 せっかくの女神面が、台無しであった。
 レオンは顎に手をやり、考える。
「スコールの様子がおかしいのは、ずっとか」
「え、…ええ、はい。あれからずっとです」
「誰かとつるんでいたりとか」
「いいえ、全く。一人です」
「…そうか。今スコールはどこに?」
「行かれるのであれば、お連れします」
「…え?」
 顔を上げた女神は、毅然として見えた。
「あなたはこの世界からは外れる存在なので、私の力を消耗することなく、スコールの元へ移動させることができます…他の戦士達は無理なのですが」
「なるほど、便利だな。ではお願いする」
「はい。…スコールを、お願いします」
「…善処はする」
「では、手を」
 右手のひらを差し出されレオンは戸惑うが、必要なのだろうと判断し左手を乗せれば、女神は両手で握りしめ大きな深呼吸をした。
「あぁ…もう手、洗えない…」
「おい」
「離さないで」
「……」
 離さないでの意味がな…と、レオンは思ったが、光に包まれ目を閉じて、目映さが引いて目を開いた先にはスコールが背を向けて立っていた。
 あの女神は素晴らしい力を持っているのに、中身が残念なのが本当に惜しいと思うのだった。
「スコール」
 声をかければ、振り返り驚いたように目を見開く。
 足下に散った破片のようなものを砕きながら歩み寄ろうとして、スコールはその場で立ち止まった。
「…あんた、なんでここにいる」
「コスモスに連れてこられた」
「……あぁ…」
「見たところ、ここはひずみとかいう所か」
「そうだ」
「敵は?」
「今掃討を完了したところだ」
「そうか」
 レオンの方からスコールへと歩み寄るが、スコールが後ろへと下がるので距離は縮まらなかった。
「…スコール」
 呼べば、視線を逸らす。
 黙して見つめれば、ちらりと視線を寄越す。
 ああ、本当にこいつは若いな。
 それに、年齢相応だと感じる。
 スコールくらいの歳の頃、己にこんなかわいさがあっただろうかと思うが、どうでもいい過去でしかなかった。
 レオンは大股で一歩を詰め、スコールが下がるより先に腕を掴んで引き寄せ至近で見つめる。明らかに動揺の走る瞳でうろたえた後、ひくりと喉を引きつらせた。
「スコール」
「…は、はなせ」
「なぁスコール」
 視線を捉え、唇が触れる程の距離でレオンは囁く。
「前に聞いたな。…お前はヤりたいのか?それともヤられたいのか?」
「…な、に言って」
「ヤられたいならクラウドにでも頼め。あいつなら喜んでヤってくれる」
「…なんのはなしを」
「ヤれる相手がいないなら、俺が相手をしてやるから」
「…は…」
 スコールの手を己の腰に回させて、レオンはスコールの首を引き寄せ身体を密着させるが、不自然に強ばったスコールの身体が離れようと後ろに下がる。レオンは引き留めたりはしなかった。
 下がるに任せた先には壁があり、スコールの背が壁に当たって焦ったように後ろを見るが逃げ場はない。
 スコールの顔を挟むように壁に両手をついて怯む瞳を覗き込みながら膝を曲げ、スコールの下半身を確認するように擦りあげてやれば、逃げて壁をずり上がろうとする。
「…やめ…っ」
「勃ってる」
「なんなんだよあんた、は…っ!」
「前みたいに、ヤらせろって言わないのか?」
「…っあれは、報復だろ!」
「なるほど。じゃぁコレはどうするんだ?」
 コレ、とわずかばかり力を込めて刺激してやるとスコールが息を詰め、レオンの腰のベルトを掴んだ。
「……っ」
「我慢するのか?えらいな。ずっと欲求不満で過ごすのか。一人で抜いても足りないよな…やっぱり相手がいないとな。…俺か?それとも、クラウドか?他のヤツがよければそれでも構わんが」
「……レオ、」
「好きに、選べ」 
 仮にレオン以外を選んだなら、目の前の男はあっさり手を離して時間が来るまで適当に過ごすのだろうとスコールは思う。
 至近で選択を迫る蒼の瞳には、何の感情も浮かんではいなかった。
 この男にとっては、スコールの選択などさして重要なものではないのだ。
 
 
 好きに選べ。
 
 
 この言葉はそれ以外の意味を持たない。
 好意も悪意も、何もない。
 …いや、多少なりとも好意はあるのだと思いたかった。 
 でなければ、選択する自分の立場がないではないか。
 掴んでいたベルトを留めている金具を外してやれば、レオンの三連に巻かれたベルトのうち二つが地面に落ちた。
 左手で、もう一つの金具を外してベルトを落とす。
 物問いたげなレオンを睨みつけながら唇に緩く噛みつけば、軽く息を吐いて舌を伸ばしてくるので唇で挟んで舌で舐める。
「…責任取れ」
 そもそもレオンが悪いのだ。
 所構わずスコールを煽った責任は重大だった。
「俺が相手でいいのなら」
 言葉ばかりは謙虚だったが、笑うレオンに謙虚さは欠片も見えない。
 服を脱げと言いながら自分もジャケットを脱ぎ、スコールは諦めたようにため息をついた。
「あんたがいい、なんて、俺が言うと思うなよ」
「…何だそれは?熱烈だな」
「否定してるんだ!」
「そんなことより、今日は制限ナシだ。時間の許す限り中出しさせてやる」
「……」
 そんなことより、とあっさり流されたことはムカついたが、その後に続くこのオトナの台詞は心臓に悪かった。
 一気に心拍数が跳ね上がる。
 喉が鳴るのは、無意識だった。
「お前若いからな。この一時間で何回イけるのか楽しみだ」
「…ちょ…」
 何かのスイッチが入ったらしいレオンが瞳を細め、自らの唇を舐めてみせた。
 …何か、ではなく間違いなくエロのスイッチだったが、スコールの肩を押して横になれと促して、馬乗りになるレオンは文句のつけようもなくカッコイイ大人の男であった。
 なのに、ヤられる方を選ぶのだという。 
「…俺は、ヤられるなんて、ごめんだ」
「そうか」
「かといって、男をヤりたいわけでもない」
「元の世界に戻ったら、好きなだけ女を抱けばいい」
「人を無節操みたいに言うな」
「ああ、じゃぁ訂正しよう。好きな女を抱けばいい」
「言われなくともそうする。あんたは自分でノーマルとかいう割に、好きな女はいないのか」
「残念ながら」
「そうか」
 モテそうなのにな、というのは、自画自賛になりそうな気がしてスコールは口を噤む。もはや見慣れすぎて忘れかけているが、同じ顔なのだった。では男も女も好きにできそうなのにな、というのは、褒め言葉になるのだろうか。「カッコイイ大人の男」は、外見だけに限った話ではないのだった。
 だがスコールのモノを銜え込み、上下させながらじゅるりと吸い上げるこの性癖はいかんともしがたい。
「う…っく…ちょ、あんた、待…っ」
 レオンの髪を掴んで、引き剥がそうとした瞬間ちらりと視線を向けられ手が止まる。
 喉奥を締められ先端を絞られて、スコールはあっけなくイってしまった。
「ふ…ッ…!」
 レオンのおくちのぎじゅつがすごすぎた。
「っ…んん…さすがに、溜めすぎ…っ」
「…ッぅ、わ」
 躊躇なく飲み込んでみせ、いらぬ感想を寄越したレオンはスコールの手を取り、人差し指から薬指までの三本を口に含む。
 ぬるりと熱く濡れた口内で舌に擽られ抜き差しされるたびにぐちゅぐちゅと音がして、たまらずスコールは熱い息を吐く。
 最悪なタイミングでレオンが現れ、もうどうしようもなかった。
 人間なのだから、性欲はある。
 相手がいればそれにこしたことはなかったが、いないので一人で処理をする。
 今まではそれで良かった。
 だがレオンが。
「…お前、ちゃんと慣らせるのか?」
「っ…自分で、やるんじゃないのか」
 せめてもの抵抗と減らず口をたたいてやれば、レオンは笑いながら解放したスコールの指を舐める。
 唾液にまみれて冷えた指が、レオンの生温かな赤い舌先を求めて無意識に動いた。
「せっかく濡らしてやったのに…」
 見せつけるように指先を軽く銜え、舌を沿わせて付け根まで降りようとするレオンの口元から無理矢理視線を引き剥がす。
「…じゃあ、ケツ出せ」
「…品がないな」
「悪かったな。…あんたならなんて言うんだ?教えてもらおうか」
「そうだな…ケツを出してやるから怪我しなくてすむようにしてもらおう」
「同レベルじゃないか」
「…誠に遺憾」
 スコールの身体を跨ぎ越し、体勢を変えて尻をスコールの眼前に突き出すレオンに恥じらいといったものはないようだった。
 濡れた指の腹で擽ってやれば尻を揺らし、「早く」と急かしながらすでに復活しているスコールのモノを舌先で舐める。
「ば…っやめろ、集中できないだろ…!」
「早くしないと、中出しする必要がなくなるな?」
 イければ中でなくてもいいだろうと言われれば、スコールは焦る。
 確かにそうかもしれないが、どうせヤるなら中がイイに決まっている。
 爪を引っかけないよう注意しながら指を挿入し、中を探るが熱くて狭くてたまらなかった。一本しか入れていないのに絡みつく襞が蠢いて、ぐるりと確認するように押し開けばひくついて指を締め上げる。
 こんなの卑怯だ。
 早く挿れたくて仕方がなくなる。
 余裕もなく指を動かし、適当に増やす。
 レオンは腰を揺らしてスコールの指を受け入れるように擦り付けながら、スコールの集中が切れない程度にモノに舌を這わせて遊んでいた。
「…もっと…?」
 加減がわからずスコールが問えば、レオンは息を吐きながら小さく笑う。
「んっ…ふ、も、いい…よく、できました」
「馬鹿にし…、おい、っやめ…!」
 じゅる、と音を立ててスコールのモノを銜え込んだレオンだったが、すぐに口を離して身体を起こす。
 一瞬の出来事に反応しきれないスコールを振り返り、視線を合わせてただ口角を引き上げ笑う。
 身体の位置をずらし、スコールに背を向けたままスコールの膝の上に両手を置いて、レオンはスコールのモノの上に腰を落とした。
「っ…ぁ…ッふ、…!」
「……っ」
 ゆっくりと、レオンの中に飲み込まれていくモノの感覚にスコールが呻いた。
 目の前でレオンの尻が上下するたびに、唾液にまみれて光るモノがレオンの中を擦り上げ、肉を抉って抜けていく。
 微妙に角度を変え、スコールのモノを根元から締め上げながら、ギリギリまで抜いて亀頭を擦って肉襞が絡む。ぬちゅぬちゅと濡れた音を立てながら熟れた肉に飲まれ、根元まで銜え込まれて震えるモノから視線が外せなくなった。
 強弱をつけ、上下しながらモノを絞るその場所が、ひくついた。
 レオンの腰の動きも、グロテスクなモノを銜え込むソコも、ぶつかる肉の音も、全部がスコールにはエロすぎた。
「は…っレオ…ッ待…っ!」
「…ッあ、ふ、…ん、どうした……っ?」
「む、…っり、無理…っ!も…イく…ッ」
「んん…ッイく…っ?」
「っぁ、むり…だっ…!」
「は…、だして、いい…っから、」
「っ…ぅ…ッく…!」
 卑怯すぎる。
 何だこれ。
 耐えるとか、無理。
 我慢とか、不可能。
 視覚の暴力も甚だしい。
 圧倒的に、不利だった。
 勝てる気がしない。
「は…ッ」
 乱れた呼吸を整えようと肩を上下させるスコールの目の前で、レオンはまだゆるゆると腰を上下させていた。
「…ん…っさすが十代、まだ、勃ってる…っ」
 気を遣っているのか、締めたり緩めたりすることはなく、熱い肉が擦れて行くだけの感覚だったが、それでもスコールにとってはたまったものではなかった。
「おい…っ」
 先端ギリギリまで抜く為に、腰を上げたら見えるソコからこぼれ落ちた白く粘つく液体が、音を立ててスコールのモノに擦り付けられ根元まで埋まる。
 エロすぎて、えぐい。
 イったばかりなのに、もうつらい。
「ソレ、やめろよ…!」
「ん…?ソレ、とは…?」
「ソレっていったら、ソレだよ…!もう、見せるな、ほんとに、やめろ」
「…ソレって、コレか」
 肉を打ち付け奥まで締め上げ、小刻みに動かしてやればスコールの顔が辛そうに歪んだ。やめろというくせに視線は外せないらしく、歯を食いしばって耐えていた。
「っ…レオン、ほんとに、やめろ…っ」
「なるほど…」
 青少年には刺激が強すぎるようだ。
 微笑ましいな、と思いはするが、口にはしない。
 では、と腰を浮かせて一端引き抜き、身体の向きを変えてスコールと正対する。
 再度スコールのモノを飲み込んで身体を反らせ、スコールの腿に後ろ手をついて膝を使って腰を浮かせた。
 ギリギリまで抜いて、一気に落とす。
「っぁん、ん…っこ、れなら、満足か…っ?」
 スコールの視線が、ずっと接合部に固定されたまま動かない。
 動かないまま、泣きそうになっていた。
「っ…っ、…っもっと、ダメに決まってるだろ!!馬鹿なのか!!」
「あっ…あ、や、叫ぶな、」
 力が入って突き上げられ、レオンの身体がひくついた。
 瞬間強く締め上げられ、スコールも呻く。
「ぅっ…!あんた、ほんとに、なんなんだ…ッ!」
「ぁ…っ何だと言われてもな…っ」
「だ、っから、何でそんな、…っぁ、っから、無理…っ」
 全部丸ごと見えすぎて、本当に何なんだ。
 もはや語彙などない。
 こちらを向いたレオンの全部が、もうエロイ。
 せめてこの顔がなければ、…いや、胸も、勃ち上がったレオンのモノも、汗でぬめる身体も、全部なければ、…この、容赦なく絞り尽くそうと締め付けてくるモノが、全部、悪い。
 レオンが、悪い。
 全部、悪い。
 イくのを耐えるのは、ほんとうにつらい。
 このレオン相手にそもそもが、無理だった。
「っ…く…、そ、…ッ」
「…スコール…っ」
 名を呼ばれ顔を上げれば、壮絶にエロイ顔をしたレオンが舌で唇を舐めながら笑っている。
「中に、好きなだけ、出していいって、言ってる…っ」
「……ッ!」
 そんなこと言われて、我慢できるわけがない。
 レオンが腰を落とすのに合わせて、突き上げる。
 中にぶちまける感覚は、とても気持ちが良かった。
「ふ、…ッ!」
「っぁ!…っん、ん…っお前、まだ、イけるのか…っ?」
「…は…っ?」
 呼吸が整わなくなってきていた。
 さすがに疲れた。
 レオンを見れば、笑みを浮かべて見下ろしている。
 素直に疲れたと言うのは癪に触ったので「別に」と言えば、レオンの手がスコールの腕を掴んで、起き上がらせる。
「…何、」
「俺はまだイってない」
「…は」
「まだイけるならお前、ちょっと頑張れ」
「……」
「お前が好きな体位でいい。…正常位だったか?」
「…うるさい」
 イけるかどうかは不明だった。
 そもそも勃つかどうかも不明だったが、仰向けになったレオンが両足を大きく開いて自らの手で腿裏を掴み、唾液やら精液やらでぐちゃぐちゃになったソコを撫でながら「早く」と催促するのを見せられる、こちらの身になって考えて欲しいと思う。
 どう考えても、無理だなんて言えなかった。
 拒否できないし、挿れろと言われたら挿れるしかない。
 呼ばれるままにレオンの足を開き、求められるままに突っ込む。
 ちゃんと勃ったし、イけそうだった。
「あ…っぁっあ、っぁ、わ、若いって、うらやましい、な…っぁ」
「っ…ふつうに、っむり、だから…!」
 もう、音がヤバイ。
 ぐちゅぐちゅだかぶちゅぶちゅだか、絶対溢れてる。
 中が熱く熟れすぎていて、襞に締め上げられるたびに声が出そうになるくらいに気持ち良かった。
 なんて言うか、レオンはヤバイ。
 それだけは、わかる。
「…っも、女、抱けなくなったら、どうしてくれる…っ!」
 好きな女なら、別にマグロでもなんでも気にならないのかもしれない。
 …だがしかし。
 こんなのを知ってしまったら。
「…勃つなら、抱ける、心配ない…っ」
「そ、…いう、意味じゃ、」
 ないんだがな。
 
 
 じゃぁ普通にレオンが抱けるということになるじゃないか。
 
 
 それは納得しがたいところだった。
 レオンがイくまで持たせる、という目標をギリギリ達成したはいいものの、スコールは脱力ししばらくその場から動けなかった。
 
 
 
 
 
「おい、大丈夫か?」
「…レオンに犯された気分だ…」
「どういう意味だそれは」
「食われたというか…なんか吸われたというか…」
「…まぁ、とりあえず服を着ろ」
「…眠い」
 完全に寝落ちモードに入ったスコールに呆れたため息をつくが、裸のまま放置しておいては色々とまずかろう。仕方なくレオンは服を着せてやり、視界に入りにくい物陰に連れて行ってスコールを壁に凭れさせる。
 聖域とやらに連れて帰る時間はなかったし、ここのひずみがどこにあるのかもレオンは知らない。敵とやらが復活するのかどうかも知らなかったが、危険な目に遭う前に目覚めてくれればいいのだがと願うばかりだった。
 猶予はあと数分。
「スコール」
 頬を撫でてやれば、わずかばかり目を開けた。
「時間がない。ここは安全か?お前、大丈夫か」
「…すぐに、おきる。もんだいない」
「……」
「あんたがいれば、だいじょうぶだろ」
「…俺はもう帰らないといけない」
「なんで?」
「…スコール。本当に、大丈夫か?」
 顔を寄せ覗き込むレオンは今まで見たことのない顔をしていた。
 心配そうで、不安そう。
 先ほどまでとはまるで別人だなと思い、スコールは重い手を上げレオンのジャケットを掴んで、唇を寄せた。
 触れた唇は温かく、絡む舌は熱かった。
 拒絶しないレオンが、悪い。
 ああ、そうだった。
「…あんた、俺のものだった」
 俺の望む通りにしてくれると言ったのだ。
 俺のためにいるのだと、言ったのだ。
 そうか、だから俺の欲求不満を解消しにやってきたのか。
 おかげですっきりさっぱり、睡眠不足も解消されて万々歳だった。
「スコール、大丈夫か?」
「…大丈夫じゃない」
 レオンの背に手を回せば、頭を撫でてくる。
 違う、そうじゃない。
 だが要求を口で言うのは、億劫だった。
「あんた、またくるよな」
「…さぁな。スコール、寝るなら壁に凭れて、隠れて寝ろ。もう時間だ」
「…このまま離さなかったら、俺はあんたの世界に行かないのか」
「無理だと思うが…」
「あんたがここに残らないかな」
「……時間だ」
「…ああ」
 手を剥がされた。
「またな、スコール」
「……」
 離された手が、冷たい。
 レオンの痕跡の消えたこの場所が、寒かった。
 たった一時間しかいないくせに、際限なく甘やかしてくる所が恐ろしかった。
 眠気が飛んだ。
 こんなところで寝ていたら、敵に殺される。
 聖域に戻る為に立ち上がった。
 体力をずいぶんと消耗していたが、気分はとても良かった。
 とても良かったが、とても複雑でもあった。
 セックスをしたというより、レオンに抜いてもらったのだった。
 全く対等ではない。
 そこだけが不満だった。
 未だにレオンという男の存在を測りかねている。
 いつか、暴いてみたいと思うスコールだった。


END
リクエストありがとうございました!

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