遠くで蝉の鳴き声がする。
 昼に差し掛かった時刻の空は雲一つなく、遮る物のない陽光は質量を感じる程の灼熱の塊となって地上へと降り注ぎ、眼下に広がる街は反射光で白く揺らめいて見える。
 遙か遠くを見やれば魔女が根城にしていたヴィラン砦が見えるが、そこに蠢くハートレスの姿はもはやなく、主すらもいるのかどうか不明であった。
 現在の所、人の手に余る大きなトラブルが起きたという話は聞いていない。キーブレードの勇者は頻繁に訪れては、ハートレスの駆除を行っているようだったが、滞在時間はそのときによってまちまちのようだ。それでもやってくれば己の仕事の手を止めて、少年の相手をするレオンは律儀だなと思うのだった。 
 今もまた、少年は研究室の中から出てきて、ハートレスと戦いながら街へと向かっている。
 城の最上階から見える様子は豆粒程にも小さかったが、闇がざわついて人へと向かっていく気配を感じ、それがまた消えていくので、ああ来たのか、とわかるのだった。
 正面切ってハートレスと戦える人間はこの街には数える程しかいないので、誰が来たかの見当はつく。
 レオンでなければ、ソラか、ティファくらいしかいなかった。
 ユフィやシドは単独で城へ来ることはまずない。
 エアリスは戦う事自体がまずない。
 大体のことは、知っていた。
 城内は静かで、涼しい。
 邪魔なハートレスを一掃してしまえば、しばらくの間そこは一人だけで過ごせる空間になる。
 吹き抜ける風の涼しさに髪を揺らし目を閉じて、壁際から城外に向かって足を投げ出して座り、見おろす景色は素晴らしい。
 城の最上階、尖塔部分に人間がやってくることはまずなかった。
 レオンですらだ。
 途中の通路が塞がれており、それを取り除くためにはハートレスを駆除して安全を確保しなければならない為、復興の優先順位としては高くなかった。
 穴場だな、と、クラウドは思う。
 いずれは人の手が入り、なんらかの処置が施されるのだろうが、それまでは一人ぼんやり過ごす場所としては最適な空間だった。
 レオンが来たいというなら連れてきてやってもいいが、復興の為にどうやってここまでの通路を確保しようかと考え出して悩むのだろうから、しばらくは言わなくていいかと思う。
 相変わらず毎日働きづめで、ご苦労なことだった。
 たまにはゆっくり休めばいいのにと思わないでもないが、街の復興を第一の目的として生きている男に、面と向かって言ったところで軽く流されて終わることは目に見えていた。休日ですら、何かあれば返上して出かけるようなヤツなのだ。
 それでは気の休まる暇もないだろう。
「まぁどうでもいいんだが」
 だが体調を崩して寝込みでもしようものなら、家に押し掛けたときに看病をしてやらねばならないハメになるのだった。見なかったものとして立ち去れる程、己は薄情ではないのだ。残念ながら。
 面倒な事になる前に自衛しろよと言いたいのだが、あの男は自分の体力と精神力を過信しているのではないかと思う。
 …否、過信というより見て見ぬ振りをしているように見える。
 もっと息抜きすればいいのに。
 おそらくクラウドが言えば、「お前はしすぎ」と言われるだろう事が目に見えているので、言わないが。
 背を後ろに倒して床に寝そべる。
 ひやりとした石造りの尖塔内はとても快適だった。
 粗末な木製の椅子、机が壁際に置かれ、小さめのキャビネットはおそらく収納用だろう。床の絨毯は城内のものに比べれば質素に過ぎたが、埃はたまっているとはいえ安いものではなかった。
 風呂やキッチン、ベッドがあれば立派なワンルームとして生活できそうだったが、元々ここは衛兵が城外を監視する為の場所なので、過ごしやすくはできているのだろう。
最低限ではあったが。
「あ」
 そうだな、せっかくいい場所を見つけたことだし、ここを利用しない手はないな。
 
 
 レオンを拉致監禁してみるか。
 
 
「…楽しそうだ」
 逃げ場はない。邪魔も一切入らない。外に出るにはクラウドの力を借りるしかなく、一人で何をすることも不可能な場所だった。
 勢いをつけて身体を起こし、レオンの休日を確認するべく立ち上がる。
 …それでもちゃんと休日を選択するあたり、自分はとても親切なのだということを、レオンはもっと知るべきだと思うクラウドなのだった。
 
 
 
 
 
 部屋で就寝したはずのレオンが、強めの風に髪をなぶられ目を覚ました場所は、見知らぬ場所だった。
「…は?」
 崩れた壁の一部からと、窓から差し込む月明かりが明るいので、自分がどこにいるかの把握は可能であったが、「ここがどこか」は不明であった。
「なんなんだ…?」
 声は風に流れていくが、壁に当たって反響するのでそれほど広い空間ではないことがわかる。
 円形で、石造り。
 壁際に沿って置かれた色濃い影が見えるそれは、家具だろう。
 窓の外を見やれば、月の位置が常より近い気がした。
 己が寝ているのは絨毯の上だった。
 シーツが申し訳程度に敷かれ、タオルを何枚も重ねて枕の変わりにしているようだ。
 上掛けもあるので寒さは感じないものの、真夏であるはずなのにとても過ごしやすい室温であることに疑問を感じる。
 隣を見れば何食わぬ顔でクラウドが寝ているので、こいつが連れてきたのだということはわかる。
 寝ようと思っていた時にちょうど部屋へと押し入ってきて、人より先にベッドに潜り込み、早く寝ろとせっついた。
 何を考えているのかと思っていたら、まさか見知らぬ場所に連れてこられるとは予想外だった。
 腹の上に乗った男の手をどかし、立ち上がって崩れた壁際へと寄る前に、ここがどこだかわかってしまった。
 城のどこか。
 しかも、かなり上層部。
 壁の縁に手をかけ外を見る。
 闇に沈んだ街は、街灯だけがほのかに明るく、ぼんやりとした輪郭を浮かび上がらせているものの、ひどく頼りない。ぐるりと視線を動かせば、漆黒の渓谷があり、星空は明るく、月は真円に近く輝いていた。
 下を見ても、この場所が高すぎるのか位置の把握は困難だった。
 ここは知らない所だ。
 おそらくまだ、調査の手が入っていない。
 何故そんな場所をクラウドが知っているのかということはさておいても、一体何が目的でこんなところに連れてきたのか。
 部屋の外へと続く扉を開ける時には、多少の緊張を伴った。
 城内ならば、ハートレスがいるかも知れない。
 だが扉を開けても、敵の気配は感じない。掃除済みらしかった。
 下へと続く螺旋階段は真っ暗で、月明かりを頼りにしても足元は覚束ない。壁に手をつきゆっくり下って行くが、しばらく下ったところでこれ以上進むのは不可能であることに気がついた。
 眼前が、瓦礫で塞がっている。
 手でそれを撫で感触を確かめてみるが、びくともしなかった。
 他に道はない。
 ここは完全に孤立した空間だということだった。
「……」
 何となく、クラウドが何を考えているのかを察したレオンはため息をつく。
 何ごっこだこれは。
 脱出ゲームではなさそうだった。
 避暑地でゆっくり過ごしましょうツアーか。
 アイツがそんなかわいらしい事を考えるわけがなかった。
 姫を連れ去って勇者が助けに来るのを待つ魔王プレイか。
 …誰が姫で、誰が魔王か馬鹿らしい。
 もっと低俗でろくでもない事を考えているのだろうなと思えば、ため息も漏れようというものだった。
 仕方なく部屋に戻れば、クラウドが入り口の壁に凭れて笑っていた。
「おかえり、姫」
「ただいま、魔王様」
「感想は?」
「よく見つけたなこんな場所」
「拉致監禁するのに最適だと思った」
「…お前の思考はろくでもないな」
「お褒めに与り光栄だ。泣いても叫んでも助けは来ないぞ、どうする?」
「泣くのも叫ぶのも性に合わないんでな。寝ることにしよう」
「おい」
 クラウドの横を抜けて、部屋に入る。後ろできちんと扉を閉めるクラウドは、意外に真面目なのだった。行き止まりで誰も来ないこの部屋を、閉ざす意味がどこにあるかと思うのだが、もしかしたら無意識の行動なのかも知れない。
 敷かれたシーツに横になると、当然のようにのし掛かってくる金髪の頭を押しのけた。
「何なんだ」
「何なんだじゃないだろ。心おきなくヤりまくれるんだから、喜べよ」
「拉致監禁とヤりまくるのは同義じゃないな、やり直し」
 言えばクラウドは眉を顰めて考えた。
「…じゃぁ、家に帰して欲しければ言うことを聞け」
「ああ、それは悪者っぽい。それで?」
「それで?じゃないだろ。お前が言うこと聞くんだよ」
「大人しくヤられろってことか」
「抵抗してもいいが、どこにも逃げられないぞ」
「変なロールプレイをしたいのか?面倒くさいな」
「さらわれた姫らしく抵抗してみせろよ。…普通の物語で姫がヤられましたってのは聞かないし」
 たいして抵抗されないだろうことは、レオンの様子を見ればわかる。本気で嫌がっているなら、目が覚めた瞬間にクラウドを叩き起こしていたに違いないからだ。最終的には目的が達成される確信があるからこそ、クラウドにはこんな茶番を演じる余裕もあるのだった。
 レオンの首筋に顔を寄せ、軽く音を立てて口づけても、拒絶はない。少しずつ位置をずらして鎖骨付近まで下りたクラウドの頭を撫でてやりながら、レオンは小さくため息をついた。
「なるほどじゃぁ…ヤられるくらいなら舌を噛んで死にます。離してください」
「ぶっは」
 クラウドが吹き出した。
「笑わせるな」
「失礼極まりないな。ていうか、気分じゃない。寝たい」
「せっかく環境を整えてやったのに?」
「起きてから考える」
「…わがままがすぎるだろ」
「自由奔放に育てられた姫なんだろ…おやすみ」
「なんだその設定。神経図太すぎる」
「お前も寝ろ。どうせなら明るくなってからのほうがいい」
「……」
 レオンは明るくなってからヤりたいのだそうだ。
 舌噛んで死にますとか、どの口が言うのか聞いて呆れる。
 寝転ぶとすぐに隣から規則正しい寝息が聞こえ、思わず「マジでか」と呟いた。
 疲れているのだろう事は理解する。
 それにしても危機感がなさすぎるのではなかろうか。
 警戒心の欠片も持たれないことを素直に喜ぶべきなのかクラウドにはわからなかった。
 夜明けまでの数時間、目を閉じればあっという間に過ぎていて、目を開けた時には周囲の様子がわかるようになっていた。
 日が昇るのはもう少し先のようだったが、漆黒の闇は薄めた墨のごとく存在を淡くしており、灰青の世界は静かに朝を迎えようとしていた。
 クラウドは身体を起こし、隣を見る。
 レオンは未だ眠りの中にいるようで、こちらに背を向け横を向いた肩は規則正しく上下していた。
 そっとレオンの身体を跨いで上から見下ろせば、自らの右手のひらを枕にするように肘を曲げ、左手は力なくシーツの上に投げ出されている。
 表情は髪に隠されわからなかったが、呼吸は安定しており、深い眠りにあるようだった。
 好都合だ。
 レオンの下を脱がす。
 明るくなれば、という免罪符を得ていた。
 寝ている間はやめろとは言われていないし、いつ目が覚めるか見物でもある。
 右半身を下にして寝ているレオンの右足はそのまま、左足を曲げてシーツの上へ。うつ伏せに近い状態にして尻を上に向け、いつもクラウドのモノを銜え込んで離さないソコを広げて指の腹で撫でる。
 拉致監禁を目的とした時点で、必要な物は全て用意していた。
 ローションを手に取り、無駄な刺激を与えぬよう人肌に暖めてから中へ。
 指がぬるりと吸い込まれ、襞に包まれる感覚に息が上がった。
 早く挿れたい。
 ぐちぐちと、指を動かすたびに粘つく音を立てて赤い肉を覗かせ、濡れて光るソコはひどく卑猥で、扇情的だ。
 レオンの反応がないのが残念と言えば残念だったが、起きていればいたで、ゆっくり観察する暇がない。コイツの言葉や態度は余裕も理性も失わせる。早く来いと言われたら、拒否権などないのだった。
 指を二本入れて、中で開く。ぬちゅ、と、たまらない音を立てて入り口が開き、ひくつく肉襞を視認する。無意識に喉が鳴った。
 三本含ませしっかり慣らすが、起こさないように、という配慮は綺麗さっぱり脳裏から消えていた。
 左足を身体につくほどさらに曲げさせ、受け入れさせやすい体勢を作る。
 己のモノをあてがって先端を含ませるが、まだレオンは反応しなかった。
 突き上げたい衝動を堪えながらゆっくりと、飲み込まれるに任せて奥へと進ませ、ぴったり納める。
 中は熱くぬめって蠢き、クラウドのモノに絡みついた。
 浅く腰を動かし感触を確かめるが、レオンが起きている時との感覚の違いは明らかだった。
 気持ちはイイ。熱い肉をかき分け抉るたびに、じくじくと熱が溜まって疼くような感覚は変わらないし、激しく突き上げればこのままイくことだって可能だ。
 だがレオンが起きている時はもっと、…。
 ぞくぞくと背筋を駆け上がる感覚に身震いした。
 レオンが起きている時は、こんなもんじゃない。
 一気に引き上げられ、持って行かれる快感は筆舌に尽くしがたかった。
 …コイツが起きれば、いくらでもそれはヤれる。
 今のこの物足りない状況を精一杯楽しんでやらねば、寝込みを襲っている意味もないのだった。
 寝ている姫を襲ってモノにする、ゲスい魔王が俺。
 …姫と呼ぶには可憐さにも可愛さにも欠ける上にそもそも男だったが、うっかりヤりたくなる相手という一点だけは共通していた。
 大変不本意ながら。
 全く、何でこんなヤツに勃つんだろうとクラウド自身が不思議に思っているが、仕方がない。一度ヤってしまったら、二度も三度も百度だって一緒だった。
 ヤらせるレオンが悪い。しかも最高にキモチイイのだから始末に負えない。
 レオン自身も嫌がっていないのだから、お互い様だった。
 ぐちゅぐちゅと、抜き差しする速度が上がる。
 ギリギリまで引き抜いて、奥まで押し込む。
 レオンが起きるかと、気遣う余裕がなくなってきた。
 睡眠姦でも十分イける、と思うクラウドは自身のゲスさを自覚している。
 結局抜ければいいのだ、男ってやつは。最低だな。
 さすがに相手は選ぶけど。
 レオンだから、いいのだ。
 もう少し、と根元まで打ち付けた所で、肉襞がすごい勢いで締まってクラウドのモノを絞り上げた。
「は…、……ッ!」
「ッンン……っ、…?」
 ここで起きるのか、すごいなお前。
 見事にイった。
 ちょっと待て、今喋れないから。
「……ん…?」
 下半身の違和感を確認する為なのか、容赦なくクラウドのモノを締めたり緩めたりしながら左手を伸ばしてソコに触れ、違和感の正体に気づいたレオンがこちらを見た。
「…おはよう、レオン」
「…勝手に人のケツを使うな」
「今イった」
「…じゃぁ、コレは?」
 コレと言いながらきゅっと締め付ける技術がすごいと、素直に思うクラウドだった。
「っ…お前が育てた」
「そだ、…ん、待て、俺は起きたら考えると言ったが、ヤるとは言って、な…っおい、…っ!」
 レオンの左足を掴んで持ち上げれば自然と体勢は横向きになる。そのままクラウドの右肩に膝裏を担ぐように抱えてやって、繋がったままのモノを奥まで押し込めばレオンの上半身が仰け反った。
「今更、だろ…っ姫が、ヤられるパターンもあるって、ことで!」
「っぁ、問答無用か…っ」
「そう」
「ふ、…っ」
「ホラ、明るくなったから、よく、見える…!」
「変態め…ッ」
「それはお前っ」
 やはり起きているレオンの反応が恐ろしかった。
 モノを絞り上げようとする肉襞の動きが容赦ない。愛撫する、などという可愛いものではなかった。早くイけと、殺しに来ている。
 こんなのに長々と耐えられるヤツは相当な遅漏か病気だ。
 一回イっておいて良かったと思う。
 それでも、つらい。
 抱えていた左足を下ろし、仰向けにしたレオンの腰を掴んで、膝座りした己の腿の上に尻を乗せる。
 そのまま前屈みに倒れ込み、レオンの胸へと吸いついた。
「ぁ、…っんふ…ッ」
 ゆるゆると腰を動かしてはやるが、追い上げるような強さはない。
 レオンのモノにも、触らない。
 先端を舌で転がし、緩く歯を立て吸い上げる。
 左手で右胸も同じように指先で転がしてやれば、レオンの腰が揺れて、中が締まる。
 舌先で擽りながら指先で先端を強めに摘むとたまらないらしく、レオンの足がクラウドの腰に絡みついて、もっと奥へと引き寄せる。
 クラウドが動く必要もなくレオンは腰を自ら動かし、クラウドのモノを奥へ奥へと締め上げながら導こうとする。
 根元から亀頭までを包み込みながら脈打つ襞の蠢きにクラウドは呻いた。
 エロすぎる。
 変態すぎる。
 突っ込んでいるだけで、レオンが勝手にイかせてくれそうな勢いだった。
 胸を触ってやるだけですでにレオンのモノは勃ち上がり、先走りを流しながら震えている。少しこちらが突いてやれば、今にもイきそうだった。
 今度は右胸を舌で舐め、唾液にまみれた左胸を指先で転がして、摘む。
「あ、ん、んっ…っぁ、ダメだ、ぁ、っぁ、あ」
 レオンの身体が震え、腰が揺れた。
 強く先端を吸い上げてやれば、ビクリと大きく震えて腰を突き出しクラウドに押しつけた。
「ィ、ッぁ…!」
「っ……!」
 イくと同時にクラウドのモノを緩急つけて絞り上げてくる肉に抗えず、クラウドもレオンの中に出す。
「ふ…っ、おまえ、エロすぎ…ッ」
 本当に勘弁して欲しい。
 息を乱して肩で息をするレオンの胸は、強く弄りすぎたせいかぷくりと赤く腫れている。
 自分でやっておいて何だが、目の毒だった。
 舌を伸ばして軽く舐めれば、レオンの手が伸びクラウドの髪を掴む。
「っぁん、も、やめろ」
「イテテ…そんなにイイのか」
「服が着れなくなったら困る」
「…擦れるだけでイっちゃうってことか?なんだそれエロ…」
 それは是非見てみたい。
 力の入りきらないレオンの手を掴み返してシーツに押しつけ、再度先端を唇に含む。
 舌でぬるりと舐めてやれば、レオンは身体を震わせ唇を噛んだ。
「んん…ッふ、あぅ、っぁ、あっ…や、めって…言ってる…だろッ!」
「っ、ちょ、待て、俺まだ抜いてない、から締めるな…ッ!」
 腰を引こうとしても、レオンの足が絡んで離れない。
 ぐちゅぐちゅとこれまたクラウドの精液分を足した卑猥な音を立てながら腰を振るレオンの凶悪さに、眩暈がした。
 抜かずに何回ヤれるかの挑戦をするより、今日一日長くヤる方を選びたいクラウドだった。
 後半勃たなくなったら楽しめない。
 レオンの胸と手を解放してやり、身体を起こす。腰に巻き付いた足を引きはがして、モノを引き抜けば、ぐぷ、といやらしい音と共に白く糸引く精液が流れ落ちた。
 大量に用意してきたタオルの一枚で拭いてやり、「飯食おう」と言えば呆れたため息と呆れた視線を投げられた。
「…今日一日の予定はどうなってるんでしょうか?魔王様」
「夜までここでのんびりと」
「…のんびりと、何だ」
「姫のくせに、言わせたいのかいやらしいな」
「ヤりまくりたいと最初に言ったのはお前だろ痴呆か」
「わかってるなら聞くなよ。どうせ付き合うんだろ」
 逃げられないし、と言ってやれば「選択の余地がない」と不満げに呟く。
「飯も買ってきたし、飲み物もあるし、時間もあるし、…俺もいるし、諦めろ」
「…拉致監禁の定義がな…」
「一人じゃないからいいだろ」
「そういう問題じゃないんだが…もういい。そういや今日はお前の誕生日だな」
「……」
 飲み物を手渡してやろうと伸ばした手が止まった。
 レオンを見おろせば、いつもと全く変わらない表情で見上げてくる。
「どうした」
「…いや」
 レオンの休日を調べて、思い出した。
 だからどうということはない。
 意味もない一日だ。
 だが、レオンの口から言われると心のどこかが揺れ動く。
 飲み物を受け取ったレオンが、一口飲んだ。
 同じように、クラウドも飲む。
 何でもない一日だ。
 今日はレオンの休日であるという、それに追加して、自分の誕生日でもあったという、偶然だった。
「てか、腹減ったし。飯食おう」
 昨日買ったパンだからちょっと固くなってるかもしれないが、まぁ食えないことはない。机の上に置いておいた袋から取り出そうと立ち上がりかけたクラウドの手を、レオンが掴んだ。
「なんだ?」
「腹は減ってるんだが、それより先に」
 掴んだ腕を引っ張って、元の位置へとクラウドを戻す。
 怪訝な表情を浮かべる男の前でレオンは四つん這いになり、尻を高く突き出した。
 両手で尻を割り開き、クラウドが出したモノで溢れるソコに指を突っ込み、中を開く。
「ちゃんとお前が動いて、俺をイかせろ」
 中途半端に突っ込んだまま触りやがって。
 おまけに目が覚めたら犯されていて、自分だけ気持ちよくイっているというのだからお笑いだった。
 クラウドが、逆らえるわけがないのだった。
 待つこともなくすぐに尻を掴まれ、深々と奥に突き刺さるモノはとても元気だ。
「は…ッ!あ、っぁあ、んん…ッん、ふ…ッ!」
「も…っ一日、ダラダラヤろうと、思ったのに…っ!レオンのばか、バカお前…!」 
「ッァ、ぁ…ッし、るか、」
「腹減ってるのに、も、さいあく…おまえ、さいあく…!」
「ァは…ッ悪かった、な…っ!」
 そうか?俺は結構悪くない。
 休日にどこからも邪魔されず、何も考えずに過ごせる時間はとても貴重だ。
 …コイツがいなければ最高だったな。
 まぁ、仕方がない。
 
  
 それはそれで、悪くない。


END

とある休日の過ごし方。

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