世界は碁盤の目で出来ていて、周囲は生命に溢れている。 高層階から見下ろす夜景に一馬は魅入り、風間が風呂から上がって飲み物を手に傍近くのソファに腰掛けてもまだ見つめたままだった。 「そんなに珍しいか?」 と問えば、よ
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千石アオイの趣味サイト。
世界は碁盤の目で出来ていて、周囲は生命に溢れている。 高層階から見下ろす夜景に一馬は魅入り、風間が風呂から上がって飲み物を手に傍近くのソファに腰掛けてもまだ見つめたままだった。 「そんなに珍しいか?」 と問えば、よ
続きを読む世界は碁盤の目で出来ていて、周囲は生命に溢れている。 年が明け未だ正月気分の抜けきらぬ町は日中から多くの人で賑わっていた。 十代と思しき若者の姿が多いのは冬休みが続いているからだろう、お年玉目当ての店側は店頭にスタ
続きを読む世界は碁盤の目で出来ていて、周囲は生命に溢れている。 「おう柏木」 「へい親父。あ、お疲れ様です。ご帰宅で?」 「ああ帰る」 「じゃ、車回しやす」 「ああ」 組員達が一斉に頭を下げ、声を揃えて送り出すのを手を振ること
続きを読む世界は碁盤の目で出来ていて、周囲は生命に溢れている。 帰りの車中もずっと少年は虚ろな瞳のまま、目を合わせることもなければ口を利くこともなく、飯食って行くかと問うても反応はなかった。 「腹減ってねぇか?」 と尋ねても
続きを読む世界は碁盤の目で出来ていて、周囲は生命に溢れている。 翌日、同じ時間に再び風間はアパートを訪れた。 柏木には怪訝な表情をされたが、あの少年が気に掛かっていた。 あれからひたすら睨みつけられ、会話は成立せず、子供
続きを読む世界は碁盤の目で出来ていて、周囲は生命に溢れている。 「失礼しやす、親父」 応えを確認し扉を開いた先、デスクに陣取り書類を見ていた男が顔を上げた。 「おう柏木、どうした」 親父と呼ばれた男はまだ若い。三十代前半
続きを読む世界は碁盤の目で出来ていて、周囲は生命に溢れている。 築数十年を経て錆びきった鉄階段を上がり、ひび割れだらけのコンクリートの通路を歩く。手摺りは赤茶色の塗装が剥げ、触れれば細かく砕け黒ずんだ内部の腐食部分が指先に残った
続きを読むクリスマスイヴの神室町に、雪が舞う。 未だ建設中の高層ビルに吹き付ける風は、剥き出しの鉄骨の間をすり抜け冷たく肌に突き刺さった。 計画通りに龍司を倒してくれた桐生の前に姿を晒せば、驚愕の表情を浮かべて先代を務め
続きを読む眠らない街、神室町に雪が降る。 日が落ちてからのこの街は、昼間とは比較にならぬほどに華やかな装いで賑わっている。夜空をネオンで明るく変えてしまえる程の熱量は、夜通し絶えることはない。 通りは人で溢れ、客引きのセール
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