届かなかった手

僕達は何を守りたかったのだろう。    当時人気のあった刑事ドラマに憧れて刑事になってもいいかと思った。  幸いコネもあり、刑事になりたいと言えばそれなりに取り計らってももらえ、大学から警察学校へ、警察学校から

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壊れる世界

私はまだ、生きている。    私の中身は曖昧模糊としていて、クリアに留まる記憶はそれほど多くはありません。  毎日変わらぬ日常を過ごしているはずの私ですが、時々「あの時何を考えてたんだっけ」と振り返っても思い出

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夢から醒める朝

お前は誰より愚かで面白かった。   「死神は楽そうだね」  出会って間もない人間の少年は、物怖じすることもなくまっすぐ己を見上げて呟いた。 「何がだ?」  問い返せば、学校へ行くために着替えた姿を鏡に映し、ネク

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神の御名において

壊れたガラクタに、興味はない。    「物事と言うものは」  手元に用意された溢れんばかりの玩具を無造作に取り上げ弄ぶのは、もはや無意識といってもいい。  組み立てる。  さらに別の物を組み立てる。  さらに別

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Good-by my…

私の神はどこにいる。    私は優秀な人間であった。  子供の頃から正義感に溢れ、間違ったことが許せない人間だった。  時には疎まれもしたが、私は私の正義に従って生きてきたし、それを曲げたこともない事を誇りに思

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solitude

幸せになれるはずだった。    ああ、身体が痛い。  じくじくと熱を持った箇所は真紅に染まり、疼くたびに神経を掻き毟られるような激痛が襲う。  何故僕が松田ごときに撃たれなければならないのか。  理不尽だ。  

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ever free

「海に行こう」最初で最後の夏を、君と。    ジャラジャラと金属が、歩くたびに擦れて立てる音が耳障りだった。  広く閑散とした廊下を二人分の足音と、金属の鎖が揺れて動く。  キラと呼ばれる史上最悪の凶悪犯を逮捕

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タメイキ。

ああ、私は神に愛されているのだと。  魅上照のキラとしての使命は、検事としての仕事を終えた後に待っている。  どれほど残業を抱えようと、どれほど睡眠を削られようとも、キラと言う現代の神より分け与えられた力によって罪人共を

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檻は何を守る

それは神という名の利己的な存在。  白灰に垂れ込めた空は今すぐ雨粒を落とすというほど重くはなく、かといって太陽を覗かせるほどの力強さも持たない半端さで、朝から地上に湿度と冷たい風をもたらしていた。季節はもう冬と呼べる時期

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WEB拍手お礼14-覚醒編( 喪失編の続きです)。

「出せ」 「…どうしましたか」 「ここから出せ。何故拘束されているのか理解できない」 「あなたが暴れるからです」 「暴れてなどいない」 「…あなたに改善要求をする権利はありません」 「弁護士を呼べ」 「…あなたは裁判にか

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