御曹司の躾作法-05-

  極道の世界に決まった勤務時間は存在しない。   事務所に毎日「出勤」する必要もない。下っ端構成員は交代で事務所に詰めていなければならなかったが、己でシノギを見つけて稼げるようになれば自由だった。   呼び出しがあれば

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御曹司の躾作法-04-

  放課後、校門を出てすぐ声をかけられた。   不快な響きを持つそれは聞き慣れたケンカへのお誘いというやつだ。   目を眇め、眉尻を上げて睨みつければ相手は怯みを見せた。気の弱そうな顔をした他校の生徒だった。 「お前がケ

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御曹司の躾作法-03-

  下がっていいという父親の言葉に逆らわず部屋を辞した後、しばらくして桐生も帰ったようだった。   夜になって熱を出し、「子供の頃を思い出すねぇ。今も子供だけど」などとからかう母親の看病を受ける羽目になり、大吾は何重にも

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御曹司の躾作法-02-

  「…腹減った…」   己の呟きで目が覚めた。   否、目覚めてはいたが空腹を自覚し無意識に出た言葉で完全に覚醒した。 「さすがにそれだけ寝りゃぁな」 「……」   声を投げられた方向へと首を巡らせれば、逆光の中窓辺に

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御曹司の躾作法-01-

  派手な呻き声を上げて、男が地面に頭から突っ込んだ。   朝から時間をかけてセットしたであろう金髪モヒカンは砂に塗れ、逆立てた髪は地面に擦れてぺたりと沈んだ。   すぐ側にはヤンキースタイルに学生服を改造した男達も複数

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Over Drive

過熱する熱。   鮮やかな緋色の空が神室町を照らす頃、一斉に燈る街灯を皮切りに、店頭の明かりが増えて行く。   日中色身のない灰色のビルがネオンに染まれば、煌びやかで下品な町の出来上がりだった。   緋色から藍へ、藍から

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勤続20年、とあるタクシー運転手の記録

  私は神室町でかれこれ二十年、タクシー運転手をしている神室卓三(五十六歳)と申します。   地元の高校を留年すれすれの成績で卒業し、父親が経営する小さな居酒屋に就職を致しました。   三十三歳の時に父親を病気で亡くし、

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秘密の一夜。-02-

  警察官の年収は低くない。   にも関わらず、谷村が住むマンションはごく平均的な1DKだった。   それほど古くはない建物にはオートロックのエントランスと宅配ボックス、部屋の玄関もまたオートロックであったが、まず一般的

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秘密の一夜。-01-

  間接照明を主に据えた控え目な光源の中、壁一面の窓から見下ろす神室町の夜景は煌びやかで美しい。   小規模なレストランの様相を呈する瀟洒な店内は、一枚板で作られたカウンターに六席、通路を挟んで窓際に二人がけのテーブルと

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カズマNO.1

「桐生さん!お久しぶりです!」 「…ああ、……」 「あ、忘れてますね?俺マコトです!ホストクラブ「アダム」ではお世話になりました!」 「ああ、マコトか。久しぶりだな」 「はい!最近桐生さんを神室町でお見かけしませんでした

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