CALLING

ありふれた言葉で ただ   キラキラと光が舞い落ちる。   花びらにも似たそれは発光しながら風に乗り、人や物に触れれば雪の結晶の如く霧散した。   ほんの、数分。   蘇るかつての街の姿に人々は狂喜した。 「…なんだこれ

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Level I

友達じゃなくて、仲間でもなくて、それなら?  遠く歓声が聞こえる。  低く唸るようなそれは闘技場を圧し、試合の決着がついたことを窺わせた。  定期的に開催される有名な大会にファンは多く、英雄と、参加者の戦いぶりを一目見よ

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残骸-05-

雨に、撃たれる。  光だとか闇だとか、クラウドにとってそれは象徴的なものではなく、現実問題として存在する。  人間は光も闇も持っているのが当たり前。  光しか持っていない人間はプリンセスと呼ばれたり、特別な存在として認識

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残骸-04-

雨に、撃たれる。  静かだった。  互いに口を噤めば広がるのは無音の空間で、闇に溶け込んだ者達の気配は室内には届かず、知覚範囲にある動く者といえば二人を置いて他にない。  ベッドサイドに置かれたランプはほの暗く、室内全体

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残骸-03-

雨に、撃たれる。  まず思ったことは、「ありえない」だった。 「…っつ…」  一寸先も見えないとはよく言ったもので、闇ではないが今眼前に広がり視界を遮る瓦礫の山と砂埃は、周囲の状況把握を困難にし、クラウドの身動きを封じて

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残骸-02-

雨に、撃たれる。 「あっクラウドじゃん」 「クラウド、起きたんだね。ゆっくり眠れた?」 「…ああ」  中途半端な眠りから覚めた後、再び眠る気をなくし、気分転換の為に外の空気を吸おうと歩いていた所をユフィとエアリスに呼び止

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残骸-01-

雨に、撃たれる。  己の過去を清算する作業は、廃墟の中から一粒の宝石を探す行為にも似て、終わりの見えない徒労とそれでも僅かながらも前進の成果を垣間見て感じる喜びとが混在し、表現しがたい感情に心は揺れ動く。  僅か一年前ま

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Sleeping Lion

人の心は、闇だけではないのだそうだ。 光だけでもないらしい。 では人の心に、あるものは。  ホロウバスティオン再建委員会メンバーの一日の行動は概ね決まっている。  街の人々の協力の元、共に街再建を目指す以上決まった予定は

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流星雨の夜に-レオン編-

帰りたい、あの場所へ。  今はもう誰も使わなくなり閉鎖された魔女マレフィセントの城内を歩く。「虚ろなる城」の意味を持つホロウバスティオンの名は、マレフィセントがこの街を支配し闇へと染めていった時から使われ始めたものだった

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宿木

思い出になるだけの、存在であったとしても。  ホロウバスティオンの街に、久方ぶりの雨が降った。   かつては「輝ける庭」の名称で謳われた美しい街はアンセム博士の実験により無残に破壊しつくされたものの、空だけは手を出すこと

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