手を取り合い力を合わせて強敵に挑む、それはまるでゲームの中の勇者のように。
面倒そうなベルトを自分で外せと言えば、スコールが嫌そうな顔をする。
ジャケットは脱がせたが、シャツはそのままだ。
脱ぎたければ脱げばいいと、これまた言えばスコールがため息をついた。
「…嫌なら着ていればいい。汚れてもいいのなら」
汗や色々なモノが飛び散ると悲惨なことになるだろうことは容易に想像がつく。舌打ちしながらもスコールは胸をしつこく舐め回す男の頭を押しのけながらシャツに手をかけ、頭から脱いだ。
服を汚すのは勘弁願いたかったが、クラウドは親切に脱がせてやる気はないようだった。
項から鎖骨を辿り、胸へと滑り落ちてくる舌の生温かく濡れた感覚は熱を生み、突起を摘まれ弄ばれてスコールの息が上がった。
辿りついた舌で押し潰すようにぐりぐりと舐められ、歯を立てられれば身体が跳ねる。
「っ…!」
漏れそうになる声を抑えるのも、そろそろ辛かった。
クラウドはあちこちに唇を寄せては歯を立てる。
項、鎖骨、肩口、二の腕、胸はもちろん腹筋や下腹部に至るまで。
痕がつく程強くはないが、いちいち感じる強い刺激は快感だった。
未だに胸元を行き来する指先も、じわじわと耐え難いうねりとなって内部に凝る。
吐き出す息が熱かった。
無意識に揺れるスコールの腰に片手を伸ばし、クラウドが着衣の上からスコールのモノを撫で上げる。
「ふ、…ッ!」
強請るように押し付けられるソレを強めに揉みしだいてやれば、明らかに質量を増して外に出たいと主張した。
「…ベルトは?」
笑みを含んで耳元に囁きを落とす。
もっと欲しければ、自分で外さないと。
「…っく」
揶揄されスコールが睨み上げるが、唇を塞がれ侵入してきた舌に口腔を弄ばれて呼吸が乱れる。
欲に染まった目をして早くと促し、何重にも巻かれたスコールのベルトに指をかけて引っ張った。
「っぁ…引きちぎるなよ、お前…!」
「その方が楽そうだな」
「やめろ変態…っ!」
まさかこんな所でベルトを外すことになろうとは。
と言うより、服を脱ぐこと自体が屈辱以外の何者でもなかった。
しかし、背に腹は変えられない。
一つずつ、ベルトを抜いて地面に落とす。
スコールの手が淀みなく動く様子を観察しながら、クラウドは下半身を剥く為に指を動かし、ずり下ろして引き抜いた。
足が長いのはいいことだが、脱がせにくいことこの上ない。
同時にベルトを外し終わったスコールの口に指を突っ込んでかき回す。
「っ、っぅ…ふっ」
スコールの舌と歯列を指先で撫でる。
指に絡みつく舌は熱くぬめり、溢れた唾液が口端から流れて落ちた。
熱くてぬるぬると滑る感触が何とも言えず、咥えて喘ぐスコールが卑猥だった。しつこく口内で遊んでいると、歯を立て軽く噛み付かれた。
「…痛い」
「は…っ、しつ、こいっ!食いちぎられなかっただけ、マシだと思え…!」
「…食いちぎられるなら、コッチがいいな」
スコールの後ろに唾液に塗れた手を伸ばし、指を一本含ませる。
引き攣る身体に宥めるように舌を伸ばし、スコールのモノを指先で扱いてやれば後ろの指が食い締められる。
構わず指を奥まで突っ込んで抜き差しし、前立腺を押して刺激するとスコールのモノが反り返って悦んだ。先走りで流れるモノを擦り付けながら指で上下させてやれば、ぬちゃぬちゃといやらしい音を立てた。
「っ…ア、ぁっく…、んん…ッ!」
背筋を駆け上る感覚に身震いし、スコールの中が指の動きに合わせて蠢いた。
指を増やして、押し広げる。
唾液が冷えた指先の冷たさに入り口が閉まるが、入ってしまえば中は熱く熟れていた。
額に手をやり押し寄せる感覚をやりすごそうと目を閉じるスコールの瞼に口付ければ、スコールの腕がクラウドの頭を引き寄せ唇を塞ぐ。
濡れた音を立てる舌も熱くて気持ち好かった。
とうに余裕などない。
クラウドは早く中に挿れたがって震える自身の先端をスコールに押し付け、指で開いて含ませた。
息を吐き、眉を寄せて切なげな表情をするスコールがたまらなくそそると思いながら、クラウドはゆっくり自身をスコールの中に挿れていく。
ズル、と滑りながらかきわける肉の熱さと締まる中が蠢いて絡み付く。
「ん…ッふ、…」
埋まる質量と感覚に、スコールが指を噛んで耐えている。
少し抜いて、強く押し込んだ。
キツく締まる中が気持ち好い。
抉るように擦り上げながら根元まで納め、スコールの足を抱え直す。
もっと、奥まで。
ぐ、と体重をかければいやらしい音を立てて中が締まった。
「は、…っ、く…」
「全部、入った」
乗りあがるように圧し掛かられ、限界まで押し広げられてスコールは熱く濡れた息を吐き出す。
残念なことに、クラウドはヘタクソではなかった。
クラウドが生きてきた人生など知ったことではないし、知りたいわけでもなかったが、触れる指先は丁寧で、唇と舌は容赦がなかった。
やれるものならやってみろと思った己を後悔するが、もう遅い。
変態のクセに。
吸い寄せられるように近づいたクラウドの頬を両手で挟んで、伸ばされる舌に緩く歯を立てる。
眉を寄せたクラウドはだが、歯列を辿ってスコールの舌に辿りついた。
ぬるりと舐めればスコールが背を震わせて悦んで、クラウドに絡みつく中が一段と締まる。
先端まで引き抜き、食いついてくる肉の感覚を確かめながらゆっくり奥まで突き上げれば、鼻にかかった声を漏らしてスコールが縋りついた。
何だコイツ、エロい。
上がる息をごまかすようにため息に混ぜて吐き出した。
理性が飛びそうだ。
汗にまみれた熱い身体を密着させて、ぬめる感覚に細胞が沸き立つ。
ゆるやかな注挿では満足できない。
ぐじゅ、と音を立てる中は熱くて狭くてたまらない。
ギリギリまで抜いて、突き上げる。
根元まで埋め込んで、かき回して、いやらしい音を立てながら締まる肉の熱さに背筋が震えた。
「は…ッ、すごい、イイ、けど、…あんた、エロいな…っ」
「っぁ、あ…っふ、ッば、…ッ妄想も、甚だ、し…ッ!」
ぶつかり犯す肉が熱くて強くて追い上げられる。
肩を押さえつけるクラウドの手が燃えるように熱かった。
イきたくて震える己に手を伸ばせば、クラウドの左手が伸び手ごと掴まれ扱かれる。
ビクビクと震える身体を抑える術もなく、スコールの顎が仰け反り悲鳴のような声を上げた。
「っあ、ぁ、や、めっイ…ッ!」
「イけば、いい…っ」
「ふ、ぁ、ッア…っ…ッ!」
耐えられず、中が締まって、尻が引き攣る。
腰に絡みつく足が痙攣した。
「っつ、…!」
「んッぁっ…」
最奥目指して突き上げて、締まって悦ぶ肉の中に己のモノをぶちまける。
コレはすごく、キモチイイ。
クラウドは大きく息を吐いた。
スコールも肩を上下させて荒い息を吐き出し軽い自失状態に陥っているようだった。
額に張り付いた髪をかきあげてやり、キスを落とせばひくりと一つ、スコールが息を呑んだ。
「…まだ、ヤるか?」
笑い混じりに問えば瞳に怒りを滲ませ、「黙れ変態」と罵られた。
投げ出された四肢は汗で光って力なく、興奮冷めやらぬエロい顔で罵られても何ら痛痒を感じない。
「…俺は変態じゃないと思うんだが」
今更な反論を試みるものの、スコールには受け入れてもらえそうになかった。
まだ中に納まっていたモノを引き抜くと、これまたエロい光景に眩暈がした。
ひくつく中に、もう一回突っ込みたい。
無意識に伸ばした指先がソコを押し広げる感覚に、スコールが小さく鳴いた。
指を中に押し入れると、「やめろ」と膝を閉じて侵入を阻止しようとする。
「…あんたはやっぱり、馬鹿だな」
そんな抵抗が抵抗になると思うか。
膝頭を掴んで少し力を込めれば、力の入らなくなっている脚は容易く開く。
「も、やめろ…」
嫌だと言われても、誘われているようにしか聞こえない。
「…ほら、コイツはあんたの中に入りたがってる」
勃ち上がり熱を持ったソレを押し付ければ、濡れて粘つく入り口が卑猥な音を立てて先端を飲み込んだ。
「ッァ、お、前、何回、ヤる気だよ…!」
ずり上がって逃げようとする身体を押さえつけるのは簡単だ。
腰を掴んで、引き寄せる。
より深く繋がる形になり、スコールが呻いた。
互いにもう、止められない。
根元まで埋め込んだクラウドは満足そうに目を細めた。
「ご期待に添えなくて悪いが、俺は絶倫じゃない」
「…今すぐ死ね、馬鹿野郎ッ!」
叫んだら中が締まった。
クラウドは笑い、スコールは身体を震わせた。
無表情で凝り固まっていたはずの男が、笑っている。
奇妙なものだと思うスコールだったが、すぐに熱のうねりに追い上げられ、ムカつく男の背にしがみつくのだった。
我らが混沌の神は、地上よりも遥か高い位置に鎮座ましましていた。
石でできた長い階段をひたすら上がったその場所に、崇める者など皆無な神は一人で玉座に座っている。
睥睨する視線に負けない強さで、クラウドは武器を構えた。
終わりにするのだ、全てを。
カオスを倒せるならば良し、倒せなければ、死ぬだけだ。
存在の消滅、それでいい。
敵に戦いたくない者がいる。
味方とはおそらく殺し合いができるだろうことはすでに明白に心の中にあった。
存在の矛盾に、クラウドはもはや耐えられない。
神よ、願わくば平和で平穏な日々を。
…己が望む神は、カオスではなかった。
それだけだ。
調和の神が座す聖域の空は、神がいるというのにどんよりと曇っていて暗かった。
茫洋と空を見上げ、クラウドは自身の存在に首を傾げる。
何故自分はここにいるのだろう。
周囲を見渡してみれば、「仲間」達が雑談をしながら各々出かける所だった。
「クラウド、一緒に行かないか」
誘われてクラウドが目線を向ければ、笑顔で手を振る「仲間」達の姿があった。
「ああ」
頷いて、歩き出す。
自身の記憶はまだ全てを取り戻したわけではなかったが、「前」の戦いで己が敵側にいたことは朧気ながら覚えている。
コスモスに拾われたのだろうが、何故拾われたのかはわからなかった。
失ってしまった存在があり、残っている存在がある。
戦う理由は見つからなかったが、戦いたくない理由はもう、見つからなかった。
別行動をしようと一人で歩く男の後姿に、呼びかける。
「スコール」
「…何だ」
振り向いた男に敵意がなければ殺気もないことに、クラウドは安堵する。
「今度、相手してくれ」
「…?ああ、訓練か?わかった」
答える声に、安堵する。
忘れていてくれて構わないのだが、出来ることなら思い出して欲しいと思うのは我侭か。
殺しあう必要もなく、戦う必要もない。
手を取り合い力を合わせて強敵に挑む、かつて為しえなかったことを、今。
…悪くない、と思うクラウドだった。
END