26歳レオン(KH)inディシディア続き。

  間を置かず召喚したことでレオンの怒りを買った女神はここ最近大人しかった。
  メンバーが集まりその話題が出ても一切乗らず、どころか物憂げな瞳で見つめては「ごめんなさい」と呟いた。忠実なる光の戦士は口にこそ出さなかったが、レオンの話題を出すことを良しとせず、ともすればバッツやジタンが「次来た時はメンバートーナメント勝ち抜き戦な!」などと言い出すのを真剣な顔で止めに入る。
  腫れ物に触るような扱いにコスモス自身が歯がゆい思いをしていたが、例え本来交わるはずのない人間であってもレオンに嫌われることは避けたいと思う女心であった。
  ああ、召喚したい。
  でも召喚したら怒られる。
  怒られるのはいいけれども、本気で嫌われたら嫌なので召喚できない。「頻繁に呼ぶな」と言われたのだ。…ではどの頻度なら「頻繁」ではないのか?許されるのか?そこのところをしっかり聞いておけば良かったと己の詰めの甘さを痛感する女神であった。
  女神の脳内に、「この世界に必要ないんだから呼ぶな」と召喚自体を拒否された文言についての記録は一切ない。綺麗さっぱり、都合の悪いことは忘れていた。
  だがそろそろ辛い。
  大人のイケメンは貴重なのだ。目の保養をしつつ、あの視線を向けて欲しい。
  さすがに神であるので、あなたと合体したい、などという俗な欲望は持ち合わせてはいなかったが、これは純粋なるファン心理というやつだった。
  見守りたい。
  守りたい。
  助けたい。
  …守られたい、とは思わない。己は腐っても神である。神は平等に愛を注ぎ世界と人間を守るべきものなのだ。…明らかに偏愛が透けて見えるが、それは気のせいだ。気のせいったら気のせいなのだ。召喚した戦士達の特定の誰か、に対してではなく、ほんの一時間しか会う事ができない人間なのだからいいのだ。反論は聞きませんし受け付けません。
  恋する乙女の切ない吐息を吐き出して、コスモスが憂いの篭る眼差しで聖域内を見渡した。
  スコールがいた。
  ああ、あのスコールが十年もすればレオンに…。
  現在のスコールは大人びてはいるけれども、やはり少年だった。外見だけなら…と思ったが、外見もやはり少年なのだった。
  レオンの十年前があんな感じなのね、と思えば微笑ましかったが、コスモスにとってその仮定は意味がなかった。
  だってレオンは一人なんですもの。
  濁ってはっきりとしない空を見上げ、レオンについて考える。
  いつもすぐにどこかへ姿を消してしまうあなた。
  私はあなたを見ているだけで癒されると言うのに…つれない人間だった。
  だがそこがいい。
  冷たくあしらわれても、いいのだ。たまに見せるあの優しい笑みとのギャップがたまらないのだ。
  若造共にはわかるまい、わからずとも良かった。
  手を伸ばす。
  ああ、レオンに会いたいなぁ。

「ちょっ…!ココココスモス、まさか召喚するつもりかっ!?」

 聞いたこともないような、動揺の走る光の戦士の叫びが上がった。
「え?」
  傍らで叫ばれ、視線を向ける。
  せっかく皆が落ち着いて来たというのに、何故今また召喚しようというのか!!…と、光の戦士の顔が物語っていた。
「召喚…」
  呟いた時にはすでに光が落ちていた。
  だが、常ならば正面に落とすべき所が、ずれた。

「あ」

 遅かった。
  誰かが光の中に巻き込まれた。
「だ…大丈夫ですか…!?」
  思わず腰を浮かせて声をかけるが、反応がない。
  やがて光が消え、その場に二人立っていた。

「…しばらくないと思っていたら…」
「な、何だいきなり…!」

 同じ声が、違う人間から発せられた。
  一人は待ち焦がれたレオンのもの。もう一人は光に巻き込まれたスコールだった。
「ようこそ、レオン。…怪我はありませんか?」
  変な所に落としてしまってごめんなさいという意味を込めて尋ねれば、スコールがコスモスを見やってため息をついた。
「…やはりあんたか」
  レオンは額に手をやり、頭を振っていた。
「頭がぐらぐらする」
「…大丈夫かスコー…、…る?」
  スコールがレオンに向き直り、声をかけようとしてそのままの姿勢で硬直した。
「……」
「…大丈夫は大丈夫だが、コスモス、いきなり何してくれるんだ…」
  顔を上げたレオンがコスモスを睨みつけた。
「…あら?レオン?」
「あ?俺はスコールだ」
「…あ、あら…?」
「…?レオンはこっ…、…ち…。…は!?」
  レオンが仰け反り、これまた硬直した。
  動かないまま二人が見つめあい、状況を把握して口を開くが言葉は出ず、同時に額に手をやりため息をついた。
「何だこれ…」
「…中身が入れ替わったのか…」
「…コスモス、これは一体?召喚ミスをしたのか?」
  他人事の光の戦士がいち早く事態に気づき、コスモスを見下ろした。
  困ったように頬に手を当て、コスモスがため息をつく。
「ああ、外見大人のスコールを見ればいいのかしら?それとも、外見少年のレオンを見ればいいのかしら…?」
  いや、困る所はそこじゃない。
  レオンならばそうツッコミを入れただろうが、光の戦士は首を傾げただけだった。
「コスモス、事態の収拾を」
「ああ…ええ、そうですね。レオン、スコール、こちらへ」
「…どういうことか説明してもらおう。…これは元に戻るんだろうな?」
  外見スコールのレオンが眉を寄せて不機嫌に呟いた。
「時間制限は変わりませんので、元の世界へ戻る時に意識も戻るはずです」
「…ならいいが…」
  出来ることならこの姿ではいたくない、とは言えず、レオンは内心鬱だった。
  己の中で、最も忌むべき時代の姿だ。
  だがそんなことを何の関係もない、外見が同じというだけのスコールに言う必要はないし言ってはならないことだと自覚はしている。一刻も早く元の姿に戻りたかったが、一時間の辛抱だった。
  黙ったままの外見レオンのスコールを見やるが、顔色が悪かった。
「…あ」
  そうだ。
  大変なことに気づいてしまった。
「提案だが」
  努めて冷静に声をかけ、スコールの腕を掴む。
  びくりと肩を震わせる男に一つ頷き、ここから離れる為の算段をする。
「…こんな状況を他の連中に見られることは望まない。…早々に立ち去るが、構わないな?」
「…仕方ありません。申し訳ありません…」
  コスモスがレオンを見上げ、目を伏せた。
  ああやっぱり外見が少年であっても、中身が大人だと表情も変わるのね。
  貴重なものを見たと胸に手を当て、コスモスが頭を下げる。
  光の戦士に一時間でスコールは戻ると告げて、外見レオンの少年の腕を掴んで早足に聖域を後にした。
「…おいレオン、こ、これは」
「ああ待て、とりあえず人の来ない所に…この間の場所でいいか?」
  言葉もなく頷くスコールを連れて、岩場の陰に入り込む。細道を進み、開けた場所に出て手を離す。
  地面に座り込むスコールを見下ろして、レオンが視線を泳がせる。
  さて、どう説明しよう。
  とりあえずレオンもまた座り込み、額に手を当て考える。
「…今日は久々の休日で」
「……」
「家でゆっくりしてたんだが」
「……」
「…前のキスマークの件で」
「……」
「報復が来た」
「…抜いていいのかこれ…」
「ああ、構わない」
「脱がなきゃならないのか…」
「俺の身体だからな、手伝うぞ」
  岩に背を凭れさせ、ベルトに手を伸ばして外してやる。
  スコールの手はすでに震えて、自由に動かすことも出来なさそうだった。
  外見は己だったが、熱い息を吐き出し肩を震わせて耐える姿というのはどうにも気持ちが悪かった。
  さっさと解放してやらないと、面倒なことになりそうだと思う。
  脱げと下衣に手をかけて腰を浮かせ、縋りついてくる両手を背に回させる。
「…何で俺が、こんな目に…っ」
「すまないな」
  まさかこんなタイミングで召喚されるとは思うまい。恨み言は最もだったが、レオンとて被害者だ。
  素直に謝罪すればスコールが眉を顰めた。 
「…い、や、あんたは別に、…いや、あんたも悪い、の、か」
「…お前も同罪だ」
  キスマークをつけたら相手は怒るのか?という質問に、試してみようと言ったのは己だった。
  …その場で怒らず日を置いて報復してくるとは大人気ない話だと思うが、そもそも何故報復されなければならないのかが理解できないレオンだった。
  プレイの一環というには感情的になりすぎだと言わざるを得ない。
  まさか己の身体を客観的に触る日が来ようとは夢にも思うまい。
  両足を開かせ、奥深くに押し込まれた細長いプラグをゆっくりと引っ張る。
  連なる小さなボールが一つずつ出てくる度に刺激されるのか腰を揺らして足が震えた。
「ん、ぁっぁ、…ッ」
  やめろその外見と声で喘ぐな。
  背筋が凍る。
  ナルシストではなかったので、己に全く興味はない。
  ずるりとぬめるローションと共にプラグを引きずり出し、地面に放る。
「は…っ」
  力を込めて抱きしめられ、戸惑った。
「スコール、手を」
「…っ、こ、れ、どうする…」
  これとは何だと言おうとしたが、気づいた。
  ああ…そうか、そうだよな…。
「…自分で触って、イけ」
「ちょ…っじょうだん、だろ…!」
  至近で睨みつけてくる外見レオンの顔が醜い。上気し潤みきった瞳で見られても引く。
  酷い顔をしているとレオンは思い、手を翳して目を覆う。
「目を閉じて、自分でやる要領で扱け。姿は見るな」
  申し訳ないが、他人の身体で自分のモノを扱いてやりたいとは思わない。察して欲しい。
「…レオン、あんたの身体、相当、おかしい、ぞっ!」
「…どういう意味だ」
「ふ、…っ」
  スコールがシャツの中に手を入れ、身体を撫で上げているようだった。
「何してる」
  聞いてやれば、胸の辺りをうろついていた手の動きが止まって随分気持ち良さげに喘いだ。
「ぁんっく…は、あ、あんた、乳首でイけたり、しないだろうな…!?」
  ヤバイくらいに感じるんだが、と、ひくひくと身体を痙攣させながらスコールが言う。
「……」
「無言ってことは肯定かよ!どんだけエロイんだあんた!」
「…まぁ、気にするな」
「する!」
「…お前は自慰してるのか俺の身体を犯してるのかどっちだ」
「…っ俺の身体返せ」
「帰るまで待て。…帰ってその状態だと俺が困るな。放置プレイか…お前が我慢できるならまぁそれもいいが」
「へ、変態発言が…」
「誰が変態だ。乳首でイってろ」
  シャツを捲り上げて、突起を指先で強めに摘む。ぐりぐりと動かしてやれば背を仰け反らせて逃げを打つ。
「ひ、…っあ、ぁっぁ、や、め、馬鹿、やめ、あ、ぁッふ、…っ」
「…声抑えろ」
  気持ち良さそうなのは結構だったが、これでは隠れている意味がない。
「む、り…っレオ、やめ、触るなっ!あ、あんた、マジで、ヤバイだろ、これ…っ!」
  何でこんなに敏感なのか、どこもかしこも身体全部が性感帯のようでスコールは泣きそうになる。条件反射のように後ろが疼き出し、前はもう今にもイきそうだった。
  開発しすぎ。エロ過ぎヤバイ。
  何でこんな身体に入っているのか、感覚の抑えが聞かずに暴走する。
「…とりあえず一度イけば落ち着くだろ」
「ふ、ぅ…っ、ほ、ホントに…?」
「多分?」
「……」
  何故疑問系?
  胡乱気に見つめれば、レオンが目を逸らした。外見スコールのレオンは随分と落ち着いた雰囲気だった。全く服装の乱れもなく、表情も平静だ。
  何故俺だけこんなはしたないことになっているんだ。
  情けなくなる。今まさにこの状態で中身を元に戻して欲しいと、心の底から願わずにはいられなかった。
  手を伸ばし、ジャケットを掴んで引き寄せた。己の顔にキスをするのは躊躇われたが、目を閉じて嫌悪感を回避する。レオンも同じ気持ちだったのか、積極性に欠ける対応だったが拒絶はされなかった。
  ゴトン、と金属製の塊が地面に落ちる音が聞こえた。少し離れた通路から聞こえたそれは、他者の存在を意味する。
「…っ!」
  スコールの身体が跳ね、レオンは眉を顰めた。
  振り返れば、武器を落とし真っ青な顔をして立ち尽くす金髪がいた。
「…クラウド」
  レオンが呟けば、スコールが顔を顰める。
  うわ最悪。こんな所を他人に見られるとは、終わってる。
「な、な、…なん…」
「…落ち着けクラウド」
「す、スコールが、レオンを、襲っ…」
「……」
  ああそうか。そう見えるのか。
  心外だと外見スコールのレオンは思ったが、クラウドの表情は嫌悪から来る驚愕ではないことに気がついた。
「…見なかったことにしてくれないか」
  言えばクラウドが我に返って首を振り、握り拳を作って一歩歩み寄る。
「お、俺も仲間に入れてくれ!」
「…うわ」
  外見レオンのスコールがドン引きしたようだったが、レオンは宥めるように頭を撫でてやり、クラウドに向かって笑いかけた。
「こいつの中身はスコールだ。お前、抱いてやってくれ」
「え…!」
「んな…ッ!ちょ、レオンあんた正気か…っ!?」
  血の気の引いた己の顔と言うのはあまり見た事がないなと思いながら、首を傾げる。
「自分の身体相手に勃つわけないし、この身体でヤるのもヤられるのもご免だ。自分でイくより、クラウドにヤってもらえ」
「ま、待てレオン、あんたの節操ない身体はともかく、俺は嫌だぞ!」
「クラウド、来い」
「呼ぶなコラ!聞けよ話を!」
  ふらふらと近寄って跪いたクラウドの耳に顔を寄せ、レオンが囁く。
「外見は俺だが気にするな。…多少手荒く扱っても怪我はしない。時間はあと三十分程しかないから、突っ込むなら急げよ」
「はい」
「はいじゃねぇよ!レオン!おい!待てコラどこに行く!」
  異様な程素直に頷くクラウドにツッコミを入れて、立ち上がり立ち去ろうとするレオンの背中に声を投げる。 
「ピーピングの趣味はない。聖域とやらにスコールの身体は置いておくから、ちゃんと時間になったら返せよ俺の身体」
「変態!あんた変態すぎるだろ!コイツにヤられてもいいのか!ヤり逃げされるんだぞ!後どうするんだ!」
「…後って、俺の家だから風呂にでも入るさ」
「気にしろよ!色々ツッコミたい!」
「…お前はクラウドに突っ込まれる立場だろ」
「レーオーンー!!」
  元はといえばレオンのせいだというのに!!
「…スコール」
  理性を飛ばしたらしい男が圧し掛かってくる。殴り飛ばしたい。だが身体を弄られるともうダメだった。
  レオンの身体は尋常じゃない。
  こんなので日常生活やっていけるのかと心配になる程だ。
  クソ、報復してやる。
  報復したくなる男の気持ちがよくわかった。
  次回覚えてろよレオン!
  かつて感じた事がない程の感覚に押し流されながら、スコールは頭の片隅で決意した。

 

 

 

「…っ、ふ…、」
  中がひくついて疼く。腿や腹にかかった精液の量が、自分の分だけにしては多いことから、あのクラウドは中に出さなかったのだなと理解した。意外に冷静じゃないかと思えば好感が持てたが、単に汚して悦ぶタイプの変態なのかもしれないとも思う。どちらにしても、今まさに終わったと言わんばかりの状況には苦笑が漏れた。
  気づけばリビングの床に直座りした状態で戻ってきたが、服はちゃんと手に持っていた。玩具は見当たらなかったので、もしかしたらあの場に置きっぱなしかもしれない。気づいて処分してくれていればいいのだが、あんなものを他人に見られた日には気まずい思いをすることは明白だった。
  軽く身体を検分する。右胸と脇腹、右腕の内側に紅い痕が残っていた。
  …またキスマークか。勘弁して欲しかった。この調子では他にもあるかもしれない。
  とりあえず身体がベタベタして気持ち悪いので、風呂に入って流さなければ。
  立ち上がろうとしたが、背後から肩を掴まれ適わなかった。
「…おかえりレオン」
「……」
  静か過ぎる声だった。全く気配を感じなかったがどういうわけか。
  背に刺さる気配が殺気じみて痛い。
  掴んだ肩を背後に引かれ、膝をついて屈み込んでいた男の腕の中に納まった。上から覗き込んで来る視線は恐ろしい程無感情だったが、口元は笑んでいた。
「…何?誰とヤってきた?」
「…ク、クラウド」
「向こうのクラウドとヤってきたのか」
「……っ」
  それは事実だが、真実は違う。
  経緯を話すだけの猶予は与えられるのだろうか?
  肩を掴む手に力が入って震えている。正直痛いどころではないのだが、やめろと言える雰囲気ではなかった。
  不意に手が伸び、指が後ろを弄った。
「っ、おい…」
「…アレ、どこやった?」
  玩具を探しているのだろうが、あるわけがない。
「……、向こうに」
「へぇ。そんなに我慢できなかったのか」
「……」
  俺じゃなくてスコールが、と言い訳しそうになったが、何故コイツに下手に出なければならないのだ。睨み上げれば、クラウドが目を細めて微笑んだ。
  凶悪だった。
「そうだな、お前には意味なかったな」 
「…おい、クラウド?」
  掴んだ肩を力いっぱい床に引き倒す。
「い…ッ!」
  鈍い音がした。肩から落ち、反動で後頭部も床にぶつけた様だったが気遣ってやるつもりはなかった。
「…さぁレオン、お楽しみの時間だぞ」
「…っお、い」
「一時間じゃ、足りなかっただろ?」
  クラウドが怒っている。
  何だこいつ、こんな怒り方をするのか。…むしろ、キレているのか。ろくでもない。
  好きで向こうの世界に行ったわけではない。しかも中に玩具を突っ込まれたままだ。最悪な気分だったのは俺の方だ。
  文句の一つも言ってやりたいところだが、それはそれで拗れそうで面倒だった。
  諦めて目を閉じれば、下唇に噛みつかれ痛みに肩が引き攣った。ぬるりと顎を伝う液体はおそらく血だ。
「っ…!」
「目開けてろ。閉じるな」
  ああくそムカつく。
  怒りに任せて睨みつければクラウドは嬉しそうに笑ってみせた。
「俺を見てろ」
  俺だけ、見てろ。
  あちらの世界に引っ張られるとは想定外だった。
  一時間待ち惚けを食らっている間にある程度の予想はしていたが、実際目の当たりにすればムカついた。
  八つ当たりだ、そんなことはわかっている。
  ああだが今度向こうへ行く事があるのなら、あちらのクラウドは殺しておかなければ。
  …ダメか。あれが死ぬと戦力が減るのか。どうでもいいことだったが、殺せばおそらくレオンが怒る。後々面倒だった。
  殴るくらいは許されるだろう。
  あいつはあちらのスコールを相手にしていればいいのだ。レオンのことは放っておけばいいものを。
  ああ、ムカつく。
  他人の癖に、同じだなんて。殺したい。殺したいけど、殺せない。矛盾で苛立つ。
  長い夜になりそうだった。


目には目を、歯には歯を

丁重に扱えと君は言ふ。

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