「いっちゃいますよ、桐生さん…いいですか?」
「…む、待った!」
「待ったはナシです。ダメです。このままいっちゃいます」
「お前…!」
「小僧だと思って舐めてたでしょ?俺強いんスよこーゆーの。はい、ダメダメ、諦めて桐生さん」
「むぅ…!」
「三光、青タン、猪鹿蝶!はい16点!」
「ありえねぇだろ…」
「現実ッスから。はい、桐生さんの負け~。5勝0敗俺の勝ち」
「イカサマしてねーか?」
「伝説の極道のクセに往生際悪いなぁ。もう一回やってもいいですけど~。何賭けます?」
「…何?」
「5戦勝ったから5万は確定として~。泣きの一回、やってもいいですけど、何賭けます?」
「もう1万じゃダメなのか?」
「つまんないでしょそれじゃ。もっとタノシイコト賭けましょうよ」
「…何だそれは」
「桐生さんが勝ったら、大先輩に言いつけてもいいですよ」
「あ?」
「俺、勤務時間中なんスよね~。賭場で遊んでたなんてバレたら叱られるんスよ。桐生さんと違って、仕事中なんで」
「俺を暇人みたいに言うんじゃねぇ。存分に叱られろダニ刑事」
「あっひでェ…」
「俺はそんな小さいことに興味はねぇ…そうだな、俺が勝ったらお前のことはこれからダニ村刑事と呼んでやる」
「うわっ…ダニ村てナニソレ!ダセェありえねぇ!ていうか十分小さい!小さいよそれ桐生さん!」
「うるせぇ谷村。で、お前が勝ったらどうすんだ」
「え?あーそうだなぁ…」
「…てめぇで言い出しといて、決めてないのか」
「まぁまぁ、それはあとで!じゃ、ラスト行きますか!」

******

「あっいやがったな谷村!テメェ何サボってやがんだ!無線入ってんだろ働けよ若人がよ!」
「若人とか古いです伊達大先輩…。パトカー乗り回さないで下さいよこんな路地裏にまで」
「入れてねーよ。ていうか入んねーよ。待ってたんだよこのサボリ魔が!桐生まで巻き込んで昼間ッから賭博かよ!」
「心外だなぁ。入ったら桐生さんがいたんですよ。せっかくなんで遊んでました。桐生さん、優しいんですよ全部負けてくr…むがががもがごがごぶ!」
「黙れ谷村。俺は遊びで入ったわけじゃねぇ。頼まれ事を片付けてただけだ」
「…相変わらずだな桐生」
「まぁな…伊達さんこそ、忙しそうじゃないか」
「全く…一課は地獄だぜ。オラ生活安全課、協力しろよ!俺だって遊びたいのを我慢してんだ!」
「あ、大先輩も一緒にやります?今度は福間殿行きましょうよ桐生さんも一緒に」
「ブワーカ俺は賭博はやらねんだよ!パチンコでいいパチンコで」
「ええーパチンコなんて耳が潰れるし…」
「それがいいんだよ。目の前の台に集中できんだろーが」
「…桐生さん、どう思います?」
「最近やってないな…パチンコ」
「おっ今度どーよ桐生!新台入替激しいんだぜ最近はよ」
「そうなのか」
「ちょっとちょっと!桐生さんをオッサンの道に引き込まないでくださいよ。俺のいいカモなんd…ああいやゲフンゲフン、」
「聞こえたぞ谷村…」
「ああいや、マジで俺、あーゆー運任せ的なギャンブルは神がかってるんで。負け知らずッスよ。マジで」
「……」
「だから桐生さん、気を落とさないで下さい」
「…5万は痛い勉強代だと思うことにする」
「泣きの一回も負けちゃいましたもんね」
「お?何だ桐生、お前…コイツに負けたのか」
「…まさかあんなに強いとはな…」
「桐生さん全敗です。俺全勝ね。そうそうさっきの賭けの話ですけど」
「ああ、なんだ」

「今度桐生さんの上に乗りますね」

「…………」
「…………」
「聞こえました?桐生さん?」
「……いや、よく、聞こえなかったな…」
「…な、何て言ったんだ谷村お前…?」

「今度、桐生さんの上に、乗りますね?」

「…組み手がしたいとか、そういうことだな?」
「えっやだなぁ桐生さん、おいくつですか?コドモじゃないんだから…」
「やめろ馴れ馴れしく肩に手を回すな」
「上に乗るって言ったら当然桐生さんが下なわけで…」
「!?」
「!?」
「あ、大先輩がドン引きしてる…変な顔してますよ!しっかりしてください。捜査に行くんでしょ?」
「えっ…あ?あぁ…っていやお前今マジで何言ったんだ…?」
「……」
「あ、桐生さんが真っ白になってる」
「そりゃなるだろお前…おい桐生、しっかりしろ桐生!」
「あ、……ああ、大丈夫だ。冗談だよな谷村?」
「…え?…ああ、もちろん冗談ですよ!ヤだなぁ桐生さん!本気にしちゃった?」
「…笑えねぇからやめろ、そういうのは」
「まぁいいや。貸し一つってことにしときます」
「…な!?今ここで1万払うからナシにしろ!」
「ダメです。貸し一つです。さって、ナニしてもらおうかな~♪」
「…おい伊達さん、コイツをちゃんと教育してくれねーと困るな刑事としてよ」
「そうは言うがな桐生…つい最近知り合った後輩に何ができるつーんだ…。それはムリなお願いっていうやつだ…努力はしてみるがよ…」
「俺これでも最近は真面目に頑張ってるんですよ?失礼だなぁ」
「ならとっとと仕事に戻れ」
「戻ります。あっそうだ桐生さん。俺の携帯番号とメルアド、登録してくれてますよね?」
「は?…んなもん、してねーよ」
「え?何で?俺と桐生さんの仲なのに。俺バッチリ登録済みですよ着メロ登録も済みですよ」
「いつの間に!?ていうか、知らねーよ」
「桐生さんが連れ込んだ女の面倒みたりしてあげてるのに…ひどいなぁホントこの人…俺泣きそう…」
「誤解を生む言い方をするんじゃねぇ…」
「正確には助けてあげた行き場のない外国人女性ですけどね、はい赤外線通信」
「……?」
「携帯こっち向けてください。ここをこうして…はい、完了」
「…おお、谷村の番号が登録されている!」
「住所も血液型も星座も好きなモノとかも登録済みですから。プレゼントもオールオーケーです。ラブコールも受け付けますよ」
「伊達さん、あんたの携帯は?赤外線通信できるのか?」
「あ?俺か?」
「って、聞いてないし!はいはい大先輩、行きますよー」
「え、おいちょっと待て、俺も桐生と赤外線通信とやらをだな…」
「はいはい出発しマース!あとでメール送りますね、桐生さん」
「メール?ああ、かまわんが」
「おい、ちょっと待て谷村…!」
「待ちませーん!生活安全課は忙しいんでーす!」
「おまえがいうなぁああああああ」
「……」

*****

「…む、メールが」

『ところで桐生さん、ソッチの経験ないんですか?』

「………ドッチの経験だ、ダニ村ぁあああああぁ!!!」


END
谷村は攻だと思うんです。異論は認める。

刑事と(元)ヤクザと大先輩

投稿ナビゲーション


Scroll Up