「桐生さん!お久しぶりです!」
「…ああ、……」
「あ、忘れてますね?俺マコトです!ホストクラブ「アダム」ではお世話になりました!」
「ああ、マコトか。久しぶりだな」
「はい!最近桐生さんを神室町でお見かけしませんでしたが…戻ってこられたんですか?」
「いや、長居するつもりはねぇよ」
「えー、そうなんですか?困ったな…」
「何かあったのか?」
「実は…今別のホストクラブにいるんですが…」
「トラブルか」
「はい…一ヶ月で売上上げてNo.1にならないと辞めさせられちゃうんですよ~」
「お前ホストに向いてないだけなんじゃねぇのか?」
「うっ!痛いトコロを…!けど無職になったら生きていけないッス!!生活かかってるんですよ!!」
「……」
「お願いします桐生さん!!もう一回助けて頂けませんか!?」
「…けどなぁ…」
「「アダムでNo.1になったことのあるカズマ」さんで話通してます!!キャッチとかもやらなくていいんで!!」
「おいお前勝手に…!」
「お願いします!」
「…しょうがねぇな…」

 

 

「カズマ!ご指名だ!」
「…はい…って、指名?何でだ。入ったばっかりだぞ…」

「桐生ちゃーん!!来たったでぇー!!俺一番乗りやー!!」

「まっ…真島の兄さん…!?」
「ほれはよ隣に座れや」
「…よ、よろしくお願いします…」
「おっええなぁ。新鮮でええわぁ…!」
「……」
「ホストクラブなんか来たことないから勝手がわからん。適当に酒頼んだったらええんか?」
「…それは助かるが…あんた浮きまくってるぜ…」
「そうかー?おう店長呼べや店長。おーい!VIPルーム貸し切りさせろやー!きりゅ…あーなんやっけ?カズマちゃんか。カズマちゃんも持ってくでー!」
「ありがとうございます。ご案内いたします」
「おう頼むわ。あと酒全種持って来いや」
「はい!ありがとうございますっ!!シャンパンタワ…」
「あん?そんなんいらん。周りのホストの兄ちゃんもいらん。カズマちゃんと二人っきりにさせろや」
「かしこまりました」
「こら待て兄さん、お…」
「カズマちゃん、客に対してそれはあかんなぁ。敬語どないしたん?」
「…ぐ…!も、申し訳ありません…」
「ええなぁ…!くー!こりゃたまらんわぁ…!VIPルームは…なんや監視カメラついとるんかい。つまらんのう。まぁええわ。アフター付き合ってくれるんやろ?」
「…ア、アフター!?ちょ、なんでそこまで…!」
「なんや、カズマちゃんをアフター誘うにはもっと金使わんとあかんのか?しゃぁないなぁ。その分サービスしてもらうで~?」
「いやそうじゃなくてだな…!」
「いっちゃん高い酒もっと持って来いやー!」
「ちょ…!」
「あとで楽しみやなぁヒヒヒヒ」
「……っ!」

 

 

「桐生さんを金で買える店があると聞いてやって来ました」
「…あ、秋山…!?」
「接客、お願いしますね!」
「よ、よろしくお願いします…」
「ここではカズマさんでしたね!いやぁ見事に客層女の子ですよねぇ。俺浮いちゃってるなぁはははは!」
「…何飲まれますか」
「そりゃもちろんプラチナ入れますよ。カズマさんの為に。コールはしてくれるんですか?」
「俺はしない…いや、しません。ヘルプが中心なので」
「えーそうなんだー残念!まぁいっか。カズマさんもっと近く寄って下さいよ。接客は距離が命ですよね!」
「……」
「囁きが聞こえるくらい近くがいいなぁ」
「…秋山」
「はい、なんでしょう?」
「誰に聞いた」
「…カズマさんったら、笑顔笑顔!キャストは笑顔も命ですよ!」
「……」
「引き攣ってますよー?」
「……あきやま…」
「ほらほら怖い顔しないで!リシャールも入れちゃうぞー!」
「……」
「お兄さん達のコールもなかなか面白いですねコレはははは!」
「…ありがとうございます…」
「うわー!きりゅ…、いやいやカズマさんいいなぁ。ずっとここでホストやって下さいよ~俺通っちゃいますよ?」
「…ぜってぇ嫌だ」
「うわー!顔がマジですよー!ほらほら笑顔!笑顔!」
「……」
「アフターはアリなんですか?」
「ねぇよ!」
「えー!?」

 

 

「桐生さんが跪いて靴を舐める勢いで仕えてくれる店があると聞いてやって来ました」
「帰れ、谷村!!」
「いきなり!?酷くね!?」
「…何しに来た」
「いやいや何しにってこんな店来る目的決まってるでしょ?やだなぁカズマったらとぼけちゃって!」
「呼び捨て!?…いや、まぁいい。いらっしゃいませ。よろしくお願いします…」
「カズマなんでそんな離れてんの?ホラここ座りなよ」
「どんなホストも客の膝の上に座ったりはしねぇんだよ…」
「そうなの?ホストクラブなんて来ないからー。興味もないし。おさわりくらいさせてくれるんでしょ?」
「そんなサービスはねぇ!」
「ないの?つまんないなぁ。違法営業で摘発チャンスなのに」
「やめろ地方公務員!叩き出すぞ!」
「部署違うからそもそも無理なんですけどねー。そうそう、俺しがない公務員なんで、たっけぇぼったくり酒とか頼めないけどいいですか?」
「…ああ、構わねぇよ…」
「じゃぁフルーツ盛りとー、お、肉あるじゃん。すげー!ここローストビーフ目の前で切ってくれんの?」
「…当店はお食事メニューも充実しております」
「棒読みですけど…。カズマったらカタイなぁ」
「…何か飲まれますか」
「んー白でいいです?俺今日予算カツアゲてきた分しか余裕なくてー。白で限界。これでも俺チョー頑張ってる」
「刑事がカツアゲ…いやいい。気にしたら負けだ…が、あとで伊達さんに報告しておく」
「ちょっとー大先輩持ち出すの反則。チクったら俺もカズマがここでいかがわしいお仕事してますって報告しますからね」
「…てめぇ…!!」
「フルーツあーんとかしてくれないんですか?」
「……、……して欲しいのかお前…?」
「何の為に頼んだと思ってんの?ほらカズマ早く早く」
「……どうぞ…」
「違うでしょ、あーんでしょ、あーん。ほらカズマ」
「…っ!!……あーん」
「あーん。…うん、フッツーのフルーツですね。ぼったくり過ぎだけどカズマが食べさせてくれるならいいかな」
「全部!?」
「うん、全部。ローストビーフも一口サイズに切って下さいね」
「……何だこれは…俺は何をやっているんだ…」
「羞恥プレイでしょ?好きだなぁカズマったら。ドMなのかなふふ…」
「んなわけねぇ」
「ドリンク口移しとか」
「しねぇぞ!?」
「えー?駄目なのー?じゃぁアフターで」
「ぜってぇしねぇ!!」
「口移し?アフター?」
「どっちもだッ!!」
「えー!?」

 

 

「桐生が苦労しとると聞いたから激励に来たったで」
「さ、冴島…!お前まで…!」
「なんや女ばっかりやなこの店…場違いやったなすまんな、桐生」
「…いや、もうこの違和感には慣れた…。いらっしゃいませ、よろしくお願いします」
「なんや畏まって。ああ、そういう店なんやな。けど気にせんでええで。俺とあんたの仲や」
「冴島…」
「なんか頼もか。何がええんや」
「基本的には酒と、何か食うならメニューがある」
「ほう。…ところでこの兄ちゃん達はなんや。すまんが落ち着かん。二人にしてくれんか」
「ヘルプで数人つくのが普通なんだ」
「そうやったんか。あの兄ちゃん達に悪いことしたかいな」
「いや、気にするな…男の客を相手するのは慣れてないだろうからな…」
「ホストクラブで働くやなんて、あんたも偉い思い切ったことするんやな。びっくりしたわ」
「…働く予定は全くなかったんだがな…成り行きで仕方なくだ…」
「頼まれたら断れんちゅーやつか。あんたも大変やな。せっかくやしええ酒一本入れといたろか。真島の兄弟みたいにアホほど金は使えんけどな」
「あいつはおかしい。…いや、すまない、助かる」
「売上が必要なんやろ?ちょっとは貢献させてもらうわ。お、なんやこのド派手なパフォーマンスは」
「高級酒入れた礼みたいなもんだ。ホストクラブでは普通に見られる光景だ」
「ほ~そうなんか。滅多にない経験やな」
「そうだな…普通はねぇよな…」
「あんたは滅多に神室町にもおらんし、たまにはゆっくり話するのもええな」
「…こんな所で申し訳ないが…」
「何時にこの店終わるんや?終わってからでもかまへんで」
「そうだな…ゆっくり飲み直すか?」
「時間あるならそれがええな。ここはどうも人の目が気になっていかん」
「そうだな…」

 

 

「桐生さんが夜の蝶として寵を受ける為に働いていると聞いて飛んできました」
「…わけわかんねぇこと言ってんなよ大吾」
「現在のところ売上げぶっちぎりでトップですよね、カズマさん」
「さりげなく呼びやがったな。…まぁいい。いらっしゃいませ、よろしくお願いします」
「桐生さ…いや、カズマさんが敬語…俺に、敬語…!」
「…何か飲まれますか」
「はい飲みます。一番高いのお願いします。あとカズマさん手ずから物食わせてくれるって聞きました」
「ダニ村死ね!!…自分で食えるだろ?…食えますよね?……食ってくださいお願いします」
「三段活用卑怯すぎる!でも食わせてもらいますお願いします」
「……」
「口移しもしてくれるって聞きましt」
「しねぇぞ!?絶対しねぇからな!」
「…敬語…」
「…しません。絶対しません。死んでもしません」
「だから三段活用卑怯すぎる!…でもして欲しいですお願いします」
「ここはそういう店じゃねぇ!…ありません。ないんですわかってんだろお前」
「…そういう店に変えますか」
「あ?」
「風俗店にするならあれだな許可の取り直しと…あと立地条件どうだったかな…」
「…待てお前」
「…だがそうすると従業員総入れ替えということになると…見込みとしては…」
「…大吾お前」
「売上度外視するにはちょっと…それに需要と供給のバランスが…」
「こら大吾、俺の話を聞け」
「はい、聞きます。何でしょう。あと敬語」
「…ここは大吾の店ですか」
「名前は呼び捨てなんですね、それはそれで…。俺の店ではありません。東城会関連の店です」
「……」
「まだ店オープンしたてで目玉がなかったので…って、あ」
「ほう、目玉」
「…いえ、何でもありませ…」
「マコトという男を知っているか」
「いえ、知りません」
「目が泳いでるぞ大吾」
「…何のことでしょう。あと敬語」
「…取れるところから金を取ろうというその根性は認めてやる…いや、認めてあげます?…違うな、認めます、か?」
「カズマさん可愛いなぁ」
「あ?何か言ったか。…言いましたか」
「慣れてないトコロが」
「…何でおま…、貴方に対して敬語を使わなきゃならないんでしょうか。理不尽です」
「俺もう悶絶しそうなんだけど」
「すればいい。…マコトとの約束だから一ヶ月は耐える。仕方がねぇ。だがおま…、ああクソ!知り合いは来なくていい。というより来るな!…と、お伝えください」
「嫌です」
「…テメェ大吾!」
「敬語」
「…あぁぁあ…!」
「もう一本酒入れましょうね。あとなんか食います?腹減ってない?カズマさん」
「…自腹ですよね?」
「もちろん、俺の自腹ですよカズマさん」

「酒全種と食い物全部、適当にご来店くださっているお客様にお配りして下さい!」

「すげぇ報復だなぁカズマさん」
「売上貢献ありがとうございます!」
「ホテル取ってるんですけど、アフターしてくれますよね」
「…ここのテーブルにさっきのボトルもう一本お願いします!」
「カズマさんを買えたらいいのに」
「あ?聞こえません。なんでしょうか」
「…俺売上貢献してますよね」
「だから?」
「ホテル行きましょうね」
「…プラチナ一本はいりまーす!」
「そんなんでカズマさん手に入るならいくらでもどうぞ」
「…そのテンションやめろ。あとここホストクラブだからな?わかってるよなお前」
「わかってますよ。あと敬語」
「…閉店までお待ちください」
「やった!!はいもちろん!!待ってます!!」
「……。…フルーツ食ってろ。ほれあーん」
「あーん!!」

 伝説のホスト、カズマ誕生の瞬間であった。


END
アホなものを書いてしまった…(笑)

カズマNO.1

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