「サムライブルー、という意味がわかりません夜神くん。説明してください」
「…何だいやぶからぼうに」
「『やぶからぼう』という言葉をものすごく久しぶりに耳にしました。古風にも程があります夜神くん」
「悪かったな。たまに使ってみたくなるんだよね、現代では使われなくなった古風な表現」
「時代劇でよく見るアレですね、「片腹痛いわぁ!」とか「ええい、頭が高い、控えおろう!」とか」
「後者はどう考えても特定の番組でしか使っていない気がするが、竜崎時代劇なんて見るんだ?」
「色々とありえない設定とお約束な展開が見れて楽しいですね時代劇。現代の風潮と外れすぎないように四苦八苦している制作側の苦労が見て取れます」
「そんな裏側を見られても嬉しくないと思うけどな制作側」
「しかし時代劇や歴史を見る限りでは、侍と青の関係性が全くわかりませんでした。Lとしてこれは看過できません。説明してください、夜神くん」
「自分で調べれば?」
「捜査で忙しいので、手が回りません」
「…ケーキ食べる手を休めてパソコンいじればすぐだろ」
「ケーキは片時も手を離してはいけません!私が死にます」
「……」
「で、サムライとブルーの関係性はなんですか?」
「サムライブルーというのは、一般公募で選ばれたW杯の応援キャッチフレーズだよ。正確には『SAMURAI BLUE2006』」
「なるほど」
「日本の公式ユニホームもブルーだし、応援歌も『サムライブルー』だし、日本のイメージ=侍、とかそんな感じなんじゃないかな…意味はないと思うよ」
「映画ラスト・サムライは面白かったですよ」
「いやそれ関係ないから」
「そうですか。『ニンジャブルー2006』とか『カメンライダーブルー2006』でも良かったってことですね」
「待て。仮面ライダーは駄目だろ、仮面ライダーは。番組名モロパクリじゃないか」
「モノノフブルー2006」
「モノノフって…武士か!字面が美しくないな」
「クノイチブルー2006」
「時代がかってればいいってもんじゃないだろ」
「ピカチューブルー2006」
「こらー!!青いピカチューなんてピカチューじゃないだろっ!」
「…ツッコミどころはそこでいいんですか…?」
「ニンジャブルーなんて言い出した時点でツッコミは諦めたよ。まぁとにかく、今の日本はW杯一色に染まっているからサムライブルーのユニフォームを着ている人達をよく見かけるね」
「セルリアンブルーとかスカイブルーを指す色と同じような呼び方で使わないで下さい、その造語。サムライブルーなんていう色があるのかと思ってしまいますよ」
「日本のユニフォームの色をサムライブルーと呼ぶらしいよ」
「嘆かわしいですね、今の日本」
「W杯が終われば元に戻るよ。日本人は飽きっぽいから、ニュースで取り上げられなくなったらすぐに忘れる」
「キラも忘れられる日が来るんでしょうかね?」
「うわ、無理矢理持ってきたなお前!」
「最初から私はずっと捜査資料読んでるんですが。…夜神くんパソコンで遊んでないで、仕事してくださいね」
「調べさせたのはお前だ」
「そうでしたか?しかし検索しても明確に意味書いてくれているサイトは見受けられませんでしたよ。夜神くんは洞察力に優れていますね」
「…えーと、それはつまり、事前に調べておきながら僕にまた調べさせて、試したとかいう気なのかな?」
「サムライブルーを連呼するだけで意味も書かないサイト群を調べる気力がなかったんですよ。検索ページを開いて飽きました」
「……」
「夜神くんが真面目に調べてくれたので助かりました。ありがとうございます」
「僕の時間を返せ」
「神でも無理です。…キラが神になっても、無理だと思います」
「キラは神になれるのかな?」
「ならせませんよ。私が」
「…Lの自信はどこから来るんだろうな」
「サッカーの神様になりたい、というのとはわけが違いますからね。神になられてしまったら世界は終わりです」
「Lも終わりかもね」
「そうですね。世間がW杯で盛り上がっていても、キラは変わることなく人殺しを続けてますよ。キラはサッカー好きじゃないんですかね」
「ドイツまで応援に駆けつけてるキラを想像すると面白いね」
「サムライブルーのユニフォームを着て、フラッグ振って、必勝!と書いたハチマキ巻いて日本のペイントを頬に施して、応援歌を歌うキラですね」
「…ちょっと待て。何で僕を見るんだお前」
「いえ…」
「今僕で想像しただろ、キラの姿を!」
「そんなことは…」
「僕はそんなことはしないよ。まぁテレビ観戦くらいはしたいと思うけど、人並みの興味しかないから熱狂的な応援なんてしない」
「そうですか…日本今崖っぷちですよ。首の皮一枚というよりもはや首と胴離れてるんじゃないか?というくらい絶望的な状況ですよ。日本人として応援してやろう!とは思いませんか?」
「何で竜崎にそこまで言われなきゃならないんだ?」
「サッカーに現を抜かしてくれれば、殺人止まるかと思いまして」
「僕はキラじゃないと何度言えばいいんだろうな…」
「キラ候補はそう簡単には覆りませんよ。日本vsブラジル戦がいつあるかご存知ですか?」
「え?知らないよ。もうすぐあるのかい?新聞見てみようか」
「22日ですよ!ドルトムントで21時から開始です」
「…それはドイツ時間だね。実際には早朝4時から中継って書いてある」
「そうでしたか?…クロアチア戦までに用意しようと思ったのですが、今日届いたのでこれを夜神くんに差し上げます」
「…サムライブルーだな」
「サムライブルーですね」
「…で、このユニフォームどうしろっていうんだい?竜崎」
「当然ブラジル戦観戦の時にはコレを着て、テレビの前で応援するんですよ」
「…そのフラッグは?」
「ハチマキとペイント道具も用意してあります」
「…すごいね」
「抜かりはありません」
「褒めてない。何でこんなものを用意したのか聞いていいかな竜崎…」
「日本人として、夜神くんは崖っぷちな日本代表チームを応援したかろう、という私の最大限の譲歩と好意のしるしです」
「二人分あるようだけど?」
「日本人であるキラの心理分析の為に、私も同じ立場に立ってみようかと思いまして」

「素直にサッカー観戦したいって言えよ馬鹿」

「…サムライブルーが目にしみます、夜神くん…」
「にわかファンめ!」

WEB拍手お礼10-がんばれニッポン!編。

投稿ナビゲーション


Scroll Up