白の開襟シャツに、パンツと揃いのネクタイは青と白のチェック柄が目に涼しげだ。靴はもちろん学校指定の革靴で、靴下は紺、スクールバッグもおまけのように置かれていたが、さすがに教科書は詰まっていない。あっても使い道がないので買ってない。使わないときは制服一式を詰めて保管用にすれば良いという配慮から、中身は空だ。
  形から入る男は着替えて見せたレオンの姿に目を輝かせ、満足気にため息をついた。
「…いいな。すごくいい…」
  恍惚混じりで感想を述べる金髪は普段着ている黒服を脱ぎ、「家庭教師」の設定らしくラフなシャツにパンツ姿だ。完全なる「バイトで来ました」アピールの甚だしい大学生風だったが、眼鏡をかけて多少なりとも知性のあるところを見せたがる所が苦笑を誘う。
  よく短時間でここまで揃えたな、といっそ感嘆しながらレオンが言えば、クラウドが力強く頷いた。
「苦労した。ソラが通ってる学校の制服だ。鞄も靴も、全部そう。…俺のやる気が伝わったか?」
「…気持ち悪いくらいに伝わりすぎて恐ろしい。…まぁ、26の俺じゃこの格好はできんしな」
「26なら俺が学生でお前が先生になる」
「…はぁ…?」
「まぁ俺は制服着ないけどな。今度それでやろう」
「……」
  聞かなきゃ良かったとレオンが眉を寄せた。
  ソファから立ち上がったクラウドがレオンの前に立ち、頬にかかる前髪に触れる。
  少し目線が低く十代に戻った学生のレオンは文句なく美少年であったが、悲しいかな中身はそのままだったので、少年の顔をしているくせに何とも言えない雰囲気が漂っていた。
  妖艶と言えばいいのか、それともただ単にエロいだけというべきなのか、言葉を取り繕っても無意味なのでぶっちゃけて言えば、ヤりたくてたまらなかった。
  こんなのが実際学校にいたら野郎は身体が保たないぞとクラウドは思う。レオンに言わせればお前の目が腐ってるだけだということになるのだが、今ここに他者は存在しないので、第三者の意見を聞くことはできなかった。
  頬に触れた手を引き寄せてキスをしようとするクラウドにいきなりか、とレオンが身を引く。
  不満そうな表情を隠しもせずに睨みつけてくる金髪を押しやって、ソファに腰かけた。
「ごっこ遊びはしないのか。これ着たのはヤる為だけか」
「…ヤるのが最優先だけど、遊びたいのか?」
「…先生、何の教科を教えてくれるんですか?」
  足を組んだ上に頬杖をつき、見上げて小さく笑ってやればクラウドが感動に打ち震えた。
「…いい…!それ、いいな…!」
「いいじゃなくて、教科はって聞いてるんだが」
  すかさずレオンの隣に勢い良く座り込み、肩を掴んでソファの上に押し倒す。
「っ…おいクラウド」
「先生」
「…あ?」
「今から名前呼び禁止。あと敬語で」
「…は」
「返事は?」
「…はい…」
  小さく頷くレオンを見たら、もう駄目だ。我慢できなかった。
  顎を掴んで口付ける。絡んでくる舌を遊ばせながら、ネクタイの結び目に指を入れて引っ張った。中途半端に結ばれた状態で引っかかるそれを放置して、シャツのボタンを外しにかかる。
「…っ先生、教えてくれるのは、教科じゃないんですか…っ」
「お前の方が頭いいし。性教育と拡張プレイでも。…道具、使われたい?使っていい?」
「拡張っておま…、いや先生、…道具って何使う気ですか…」
  しっかりそんなものまで用意してきたのかこの男は。この短時間で。
  見上げた根性だとレオンはもはや感心しかできなかった。
  性急な手つきでせっかく着込んだ制服を脱がし、しかしボタンを外しただけで放置する。だらしなく下がるネクタイを見かねて結び目を解き、外して床に落とそうとすれば拒否されそのまま首に引っかけられた。両端がぶら下げられまるで疲れたサラリーマンのようだったが、この中途半端な脱がし具合がそそるのだと言い、変態のご希望なら仕方がないなとレオンはあっさり諦めた。
「細めのものから太めのものまで何種類か用意しました。どれから行こうか?」
  常識的に考えて、太いやつはまず無理だ。細めのやつから馴らしていかねば裂けて怪我をするだけだったし、その為の拡張プレイであるはずで、痛い思いをするのはごめんだった。回復すればいいという問題ではなく、痛みに快感を覚える性質ではないから嫌だった。
  並べて選べと言われ、それらのグロテスクな外観にため息をつく。
  真面目に並べて意見を聞く方もおかしいが、そんなものを選ぶ立場に立たされる方がもっとおかしい。
  本音を言えば、どれも突っ込まれたくはない。しかもそれをコイツはにやにやしながら眺めるつもりなのだろうが、そうはさせるか。
「…先生」
「ん?」
  これがいいか?と中くらいの太さのモノを手に取り首を傾げてくる金髪の阿呆面を張り倒したい衝動に駆られたが、耐える。
「…先生はそれを突っ込んでる俺を見てるだけで、満足できるんですか?」
「…っ!」
  言ってやれば、目の色が変わった。
  そうか、そうだった。
  後ろに突っ込んでしまったら俺はどうすればいいんだ!
  口…は駄目だ、コイツにやられたら保たない。あっという間に持っていかれてしまったことは記憶に新しい。せっかくのコスチュームプレイ。せっかくの家庭教師プレイが楽しめなくなってしまう。
  では玩具を突っ込まれて善がるレオンを見ているだけで我慢できるのかといえば、できるわけがなかった。
  自分が突っ込まねば楽しくない。
「……」
  ぽい、と手にしていたモノを放り投げた。
「…先生?」
「後でバイブ突っ込んであげる。先にヤる」
「…んな…」
  結局道具は使うのか!しかも後でって何だ、後でって!
  絶句するレオンの足を抱え上げ、ローションを大量に使った。
  全く処女は気を使う。いやもう処女じゃないけど、男を咥えこむ事に慣れきった身体とそうでない身体では負担も怪我をする確率も段違いだ。
  だが最初の挿入からまだそれほど時間は経っていない為、意外にもスムーズで助かった。
「…っく、ん…ッ」
  慎重に動かしながらも、指を増やすのも早かった。すぐ挿れられそうな様子にクラウドの喉が鳴る。
  着衣を寛げ、自らのモノを取り出し怪我をさせないようそこも濡らす。
「…挿れていい?」
  聞けばレオンが苦笑した。
「…先生らしく、リードしろよ…いや、して下さい」
「言葉遣いがなってないな」
  同じくクラウドも苦笑し、レオンの身体を起こして向かい合わせる。両足を掴んで開かせ、己の腰に絡ませた。胡坐をかいた足の間にレオンの尻を置き、両腕を後ろ手にソファへとつかせれば、下半身だけ突き出す形になって密着するソコがぬるりと滑った。
「…エロイ格好」
「……」
「挿れるぞ…ホラここ」
「っ、ふ…っ」
  片手で自分のモノを添え肉を押し開きながら含ませて、レオンの腰に手を回し手前へと引き寄せる。
  ゆっくりとした動作だったが、飲み込まれるスピードの方が速かった。熟れた肉壁が熱くて狭い。
「んん…ッぅ、ぁ…っ」
「すご…っ慣れるの、早すぎだろ…!」
「は…ッさっき、ヤったから、だろ…っ!」
「…レオン、言葉」
「っ、う、く…っ」
  根元まで納めて揺すり上げる。
  腰に絡みついた足が、動きに合わせて力が入った。
  クラウドは手を離し、レオンと同じように背後に手をつく。
  繋がったソコが熱を持って触れあい、腰を引いて肉が擦れあう度にぬちゃぬちゃと音を立てた。
「レオンも、いいように動けよ…っ」
「あっ…ふ、ん…ッん…ッ」
  良く見える。
  ぐちゃぐちゃに濡れて怒張したグロイ肉を咥え込むレオンのソコと、勃ち上がって震えるモノが先走りの涙を流して悦んでいる。
  羽織っただけの白いシャツが揺れ、仰け反る平らな胸元の先にある顔は汗に塗れて上気していた。
  ああエロイ。たまらない。
「…っまだ、後ろだけでは、イけないよな…っ?」
「ん、ぁッ、む、り…ッ!」
「は…っ、先生って、呼んで、レオン」
  グリグリと前立腺を先端で擦ってやれば、腰が跳ねて高い声を上げた。
「ア、あ…ッ、ぅ、ふ…ッせ、んせ、も、イきたい…っ」
「…お願い、して、」
「…ッァ、は…っイ、イかせて、せんせ…っ、さ、触って、はやく、っ」
  甘えるように舌足らずに、躊躇いなく吐かれる言葉が心臓に悪い。
  死因は腹上死とか洒落にならないなと思いながら身体を起こし、腰に絡むレオンの足を肩にかけて身体を密着させれば、自重を支える為についていた手を離してクラウドの頭を抱え込んだ。
「あ、ふ…っ先生、もっと、ちゃんと、動いてくださ、…っ」
「…っとに、わがままな、生徒だな…っ」
  どっちが先生なのかわかりゃしない。
  腹で擦り上げてやりながら、手を伸ばす。
  締まって悦ぶ中を思う存分味わいながら肉を抉り、スピードを上げて追い込んだ。
「あっ、あ、ぁあ…っ、ん、ぁ、…ッ…ィ…っ」
  震える身体を力いっぱい抱きしめて、突き上げる。自身を解放してやって、大きく息をついた。
「…っレオン、大分、感じるようになってきた…?」
「…は…っ、ん、ふ…っ…あぁ、…大分、キモチイイ…、です、先生」
  赤い舌を出して唇を舐めながら言わないで欲しいこの淫乱め。
  誘われるように舌を出し、唇を舐めれば開いて舌を引きずり込まれて吸い上げられた。
  食われる。そのうちコイツに殺されそうだ。
  レオンの中で再び勃ち上がったモノをゆるゆると動かして、内襞を擦り上げる。
  身じろぎ締め付けてくる貪欲な肉に笑みを刻んで、レオンの身体を引っくり返した。
「っ、…は…」
「バックも、好きだよな?」
  ていうか、突っ込んでもらえればどんな体位でも好きだよな?の間違いだった。
  言い直すまでもないので、腰を掴んで高く上げさせ、肩を押さえつけて乗り上がる。
  ギリギリまで引き抜いて、奥まで穿つ。
「っ…!…ッぅ、あ…っ」
  ソファに顔を埋め、爪を立ててレオンが喘ぐ。
  さすがに慣れた。もう擦られて痛みは感じなくなっていたが、代わりに来たのは熱くて震えるほどの快感だ。
  確実に成長している。喜んでいいのか複雑だった。
「は、…っあ、っあ…く、ぅ、な、んかい、ヤれば、気が済むんだ、も…ッ」
  慣れない行為に身体中の筋肉を使ったせいで、そろそろだるい。
  おまけに眠い。
  セックスは体力を消耗する。全くコイツはどんだけ元気なんだ、驚嘆する。
「…レオン、言葉、がまた、」
  圧し掛かってきた男の手がレオンのモノを掴み、胸を探る。力を入れて突起を摘まれ弄られて、痛みに混じる快感に後ろを無意識に食い締めた。
「っ、こら、思いっきり、絞るな…っ!」
「んぁ…ッ、ぅ、せ、んせ、っあ、っぁ、あっ、お、俺のに、触らないで、はやく、イ、イって、」
「は、さっきと、言ってること、違うけど…っ?」
  ぐじゅ、と中がいやらしい音を立てた。溢れる液体が糸を引いて尻から太股へと流れ落ちる。舌なめずりをしながらクラウドが見下ろし、「エロイ」とため息混じりに呟いた。
  言うことを聞いてくれる気はないらしく、勃ち上がるレオンのモノを容赦なく扱いて追い詰める。
「んん…っは、…っはぁ、あ、あ…ッ、…っゃ…っ」
  そろそろ身体も心も保ちそうにないが、そんなことを言えばコイツはきっとつけあがる。
  突き抜けるように襲い来る射精感を歯を食いしばって受け入れて、脱力した瞬間に意識を飛ばしそうになった。
  このまま寝たい。
  中がもう、クラウドのモノと一体化してしまったかのように感覚が熟れすぎて辛かった。
  出し切って満足したのか、男がゆっくりと髪を撫でる。
「…っ、も、抜いて、先生…っ」
「ああ。…さっきの約束、果たさないとな」
「……?」
  約束って何だ。
  重くなり始めた瞼を開き、身体を起こそうとしたが押さえつけられた。
「な…」
  何だと最後まで言葉にはできなかった。
  中に挿入された冷えたゴムのような感覚に身体が引き攣った。
  …さっき、コイツが言ってたのは。
「…仰向けになれ。足開いて、見せて」
「っ、う、わ、やめろ…!」
  長さはそれほどでもないが、太さはそれなりだった。
  指で奥まで押し込まれ、ぴったり埋まったソレのスイッチを見ながらクラウドがにやけた。
  優しげにレオンの額にキスを落とし、うっとりと目を細める。
「お前の、出なくなるまでイってみせてくれ」
「…、…ッ!」
  最低だ。
  レオンが絶句した。
  起き上がろうするが、両手首をまとめて掴まれソファに押し付けられて身動きが取れなくなる。
「上から見ててやるから」
「…っ、ていうか、もう無理、だと思…、い、ます!離せ!」
「惜しい、レオン、言葉が」
  何度も言うな腹立たしい。
「今日だけで何回イってると思ってるんですか!いい加減無理です先生!」
「無理なら無理でいいから、見せてくれ」
「…ッ、変…態、ですね、先生…っ」
「今罵ろうとしただろ…まぁいいけど」
  容赦なくクラウドがスイッチを押した。
「ぃ…ッ、…っ、…ッ!!」
  押し込まれたバイブの振動が強い。前立腺を狙って入れられた刺激に涙が溢れた。意志とは関係なく反り返るレオンのモノがダラダラと液体を流すが、それは透明で量も少なかった。
「ああ、あ、あ…っ、や、…っ、ッひ、っぅ、あ、っぁ…!」
  跳ねる身体を押さえつけ、手首を逃がさないように握り込み、クラウドはじっとレオンを見下ろした。
  動揺と快楽の入り混じる顔がいい。そそる。
  零れた涙がソファに落ちた。顔を寄せ、舌を伸ばして涙を舐めるが、溢れるそれは止まらなかった。
「は、は…っあ、あぁっ、ア…ッ、や、だ、も、やだ、無理、クラウドッ、やっ…」
  悲鳴のような声でレオンが限界を訴えた。
  あまりに切羽詰った声音にクラウドが驚いて、スイッチを止める。
  静かになった室内に、レオンの呼吸音と鼻を啜り上げるような音が響く。
「…おい、レオン…?」
  まとめて押さえつけていた両手首を解放してやれば、震える手で涙を拭う。
  もしや…泣いているのか?
  え、レオンが!?
「…ちょ、マジかよ、レオン…?」
  頬を手で挟んで覗き込もうとするが、払われた。
「…っ、は…、触るな、も、感覚が、おかしい…」
  泣く気はないのだとレオンは言った。勝手に流れて来て止まらないらしくしきりに目を擦っているが、止める。
「やめろ、赤くなってる」
「…、バイブ抜け」
「…はい…」
  大人しく指示に従い、玩具を抜く。
  中に溜まっていたローションや精液の混じったモノがぼたぼたと溢れ出して来てソファを汚した。
  あーあ、このソファ…もう使い物にならないような…。
  きっと殴られる。
  色々とやりすぎた。絶対殴られる。
  クラウドは覚悟した。
  激しく上下していた胸が、ようやく落ち着いたようだった。
  そっとレオンの様子を窺うが、静かだ。
「…レオン?」
  顔を覗き込み、クラウドは目を見開く。
「…ね、寝てる…」
  失神に近いような気がしたが、意識をなくしたレオンが目を閉じて横たわっていた。
  えーと、俺がやるべきことは?
「…ああ、風呂…と、片付け…と、着替え…」
  レオンの身体を抱え上げた。
  まず、風呂。
  鏡を掃除しておいて良かった。
  今日はもうさすがにヤれなさそうだなと思いながら、明日何時に戻るんだろうと思いを巡らせる。
  だから変態とか言われるのだということはわかっていたが、美少年レオンだぞ。
  しかもエロエロだぞ。
  こんな機会もうないぞ!
  限界までヤらずにどうするのか。
  …先にレオンの限界が来てしまったようで残念だ。少年の身体だから仕方がないのかもしれない。
  元に戻ったレオンの限界はまだ見た事がないので、いつか挑戦してみたいと思うクラウドだった。

  …拡張プレイで、オトナのレオンの身体はどこまでイケるのか?

  興味は尽きない。


END

ルール:名前呼び禁止。敬語を使う。

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